第38話 魔力なしと教会
レアがキャスティに、ちゃんと説明したからだろうか、今までのオドオドとした態度から見事に変わった。
「レアありがとう。司祭様の件は、あなたが事件に遭っていた時に、教会所属の鑑定師を王都から呼び寄せる事になっているのと、王都にいる魔力なしの者3名を、こちらに連れて来ることになっていました」
来週辺りにスレバの町に着くそうで、それに合わせて東区の教会にいる司祭様が、解呪するそうだ。
「お姉ちゃん。キャスね。村にいた時に、よく近くの川で遊んだよ。石触ったのも、それくらいしか覚えてないの」
クイクイと服の裾を引っ張って、キャスティなりに思い出した事を話す。
「そっか教えてくれてありがとう。ここの子と、仲良くして欲しいな。キャスティのこと誰か魔力なしと、イジメる人いたらシスターに話しなさい。シスターが、キャスティが魔力なしじゃないて言ってくれるからね」
さっ、みんなと遊んでくると良いよと、キャスティを花蜘蛛ごと庭に行くよう伝える。
「だそうです。シスター、多分石は川原にある普通の石に混じってたのかも」
「ありがとうレア。となると、浄化の派遣は村の子供達が遊びに行く川を入れておく様報告ですね」
「でも、川の上流ってどうなっているんですか?川原の石なら、上流から流れて来たのかなって思ったけど」
今までに、魔族のカケラなんて聞いた事もなかったし、魔力なしの話も知らなかった。
「話してるところ悪いが、ちょっと良いか?」
ナナカが、今までだまっていたが声をかけてくる。
「さっきの子だが、魔力なしなのか?」
「村にいた時に、そう判断されてたまたま教会が保護して、この孤児院に来たんですよね?」
多少の違いはあったが、おおまかにそれで合っているとシスターが頷く。
「様子がおかしいから、私が鑑定したんだ。そしたら呪の状態で、詳しく鑑定したら魔族のカケラって聞いた事もない内容が、鑑定に表示した。ナナカの周りには、魔力なしはいる?」
長命エルフ族なら、居そうな気もする。
「俺の世代には居ないが、アインスなら何か知ってるかもしれない」
「なぁ?さっきから何の話なんだ」
ラルフが、何を話しているのか分からないと聞いてくる。
「ラルフにエイル。馴染みないけど、魔力なしって言う魔力を持たない人がたまにいる。ここだと、今回のキャスティがそれにあたるんだよ」
魔力なしは、魔法が使えない。
生きる価値がない。
差別対象になり、悲惨な生涯になる事を伝える。
扱いは国ごとにも違うし、町や村によっても違うし、キャスティの場合虐待されていたと話す。
「本人が悪いわけじゃなくて、外的要因でそうなってしまったと、今回初めてわかった」
「冒険者の中にも、そう言った人はいるかもしれない。原因の元が、分かるなら教会はそれを浄化する必要があるんですよね?」
レアは、シスターに確認するように聞く。
「そう。放置すると、町どころか国が滅ぶ規模に発展する可能性があるわ」
「それヤバイんじゃ?」
「うん。密かにシスターや領主様とか、上の人達が動きだしてるの。直ぐに悪くなるんじゃなくて、魔力なしの人が出てきたら要注意?ですよね?」
ここでジタバタしても、状況はわからない。
「魔力なしの人は、解呪すれば元に戻ると考えているけれど、まだ判断つかないのよ」
レアだけが、鑑定出来たのだ。
商業ギルドの鑑定師も、こっそりキャスティを鑑定して貰ったが、レアほど詳しく分からなかった。
教会の上部に伝えたところ、所属の上位鑑定師を派遣してくれることになった。
この国にいる上位鑑定師は、レアを除けば王都にしかいないのだ。
今まで魔力なしを、鑑定した上位鑑定師は居ないのが発覚の遅れだ。
「俺たち、何か出来る事ってあるのか?」
「そうだね。冒険者の人と、交流する時にちょっとした話を仕入れたって感じで、魔力なしの原因が、本人が悪いわけじゃないって広めるくらいだね」
一般人に出来ることなんて、噂話を広めてもらうしかない。
「後ね妙な石とか、触らない事かな」
魔族のカケラに統一性があるか分からないが、いわくつきの話なら、冒険者でも知っている人は居そうだ。
験担ぎをする冒険者は、意外にもいる。
「聞かれたら、教会がそう言ったってこの町なら、全ての教会に話通ってますよね?」
「魔力なしの原因が、魔族のカケラと分かるなら無料で、解呪すると決まりました。今なら来週に解呪を行う予定ですし、必要であれば定期的に無償で行うようになるでしょう」
この町限定だがレアが鑑定するようにと、領主からもお願いがきている。
どれだけの魔力なしが、この町に隠れているかわからないし、今回のキャスティだけかもしれないが、魔族が関わる事は教会では迅速に動くのだ。
「なんか難しい事分からないが、噂話として流すくらいなら出来るか」
「詳しく聞いてくる人は、私が鑑定してくれるって、話していいよ」
今回の事件で、知名度が上がってしまったし、鑑定スキルを無理に隠す事でもない。
「と言うわけで、この話はお終い。シスター紹介遅れましたが、しばらくこちらにいるナナカが所属する冒険者チームが、私の護衛になります」
とりあえず孤児院に出入りするだろうし、伝えておく。
ナナカは、エルフと知ってもらった方が良いと、判断したのか姿変えの魔法を解く。
「ああ。レアの故郷の方ですね。分かりました」
「あれ?人族じゃないのか?」
ラルフと、エイルも驚いたようだ。
「エルフって知られ過ぎると、危険だから普段は魔法で姿変えてるんだよ。冒険者ギルドだと魔法が効かないから、エルフが来たって噂あったよね?」
「わかった。これは、誰にも話すなってことだよな?」
「エルフって知ってる人には、エルフに見えるみたいだし、私の護衛がエルフだって話さないなら大丈夫。シスター、この後はテイムした子を温室に連れて、生き餌管理を話します」
先に用意しておいた生き餌管理の注意の紙を、シスターに渡す。
これはシスターに持っていてもらう。
子供達用は、管理小屋に張り付けておく予定だ。
「んで、ラルフとエイルにナナカも、着いてきて」
蜘蛛のテイムが、ほぼ同じなのだ。管理知識があっても損はない。
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