第37話 テイム

孤児院に入ると、子供達にもレアの事が伝わっていたのか、群がられてしまった。


「レア姉!大丈夫?」


「普通じゃんかよ!」


思い思いに好き勝手に言って、飛び付いてくる子供たちに、森に逃げ込んで無事だったと話す。


「だから、大丈夫だって言ったろ!」


「ラルフ兄は、ウソ言うときあるじゃん」


からかって、子供たちに良くウソ言っていたツケなのか、全く信用されていなかったらしい。


「無事で良かった。ラルフと、朝も探しに着いて行ったけど見つかったと聞いたので、急いでこっちに報告して子供たちと、遊んでいたとこです」


エイルが、子供を肩車しながら話す。

孤児院を出たとはいえ、こうして訪れる元出身者は多い。


「探してくれてたんだ。ありがとう。そうだ紙受け取ってる?」


レアを探しに来た冒険者に、報酬希望に紙を渡した事を話す。


「貰いました。でも、良いんですか?下手したら大変な金額になるんじゃ?」


「それね。逃げる時に、アイテムポーチに穀物袋邪魔で入れてたんだけど、中に魔道具やら装飾品がかなり入っているみたいだから、そっちから報酬出せると思う」



手続きにちょっと時間がかかるかもしれないと、ラルフとエイルに伝える。

商業ギルドに預けた穀物袋の中身の、装身具だけでもかなりの量だった。

開けてない他の袋にも、何か価値が高い物が入っているなら良いなと思う。


「レア、無事で何よりです」


レア姉が無事帰ったと、報告に来た子供達に教えられ炊事場からシスターが現れる。

昼食の片付けを、手伝っていたようだ。


「ご迷惑をかけました。たまたま、運がよかったです。今後は、同じ事が起きないようにしたいです」


ここに戻れてホッとした。

両親を亡くし、ここに預けられ成人するまでいたが、今世の実家になってるなと思う。


「森では、クーとその仲間が居てくれたので、魔物に襲われる脅威はなかったです。シスターにテイムしたいと言う子に、この場で蜘蛛のテイムの許可をもらうのは可能ですか?」


蜘蛛を怖がる、孤児の子もいる。


「そうですね。暗くなった時は、子供は特に魔物を怖がる子もいるので、温室の生き餌管理小屋に必ず入れるようにすれば、なんとかなるでしょう」


レアに小屋自体は、もう出来上がったと伝える。

カウント魔法の魔道具の設置がされていないが、鍵もかかるので生き餌管理小屋も使えるのだ。

レアが不在の間に、ガント棟梁が頑張ってくれたようだ。


「それなら、テイムしたいと言う子だけでなく、まず今後この蜘蛛が孤児院に居ることになると知らせた方が良いでしょう」


最初から避けさせるより、見せて理解させる方向にして行くことに決めたようだ。


シスターは子供たちに、孤児院の庭に集まるよう伝える。

蜘蛛をまだ認識出来ない赤ん坊以外の小さな子達から、成人間近の子達が庭に集められた。

その中には、魔力がないと言われたキャスティも居た。

孤児院でイジメられることはないのか、まだオドオドしているが大丈夫なようだ。

ラルフとエイルも、何が起きると興味から一緒に見るようだ。


「みんなに集まってもらったのは、私のクーみたいに、テイムしてもらいたいって、蜘蛛を今日連れて来たんだ。これから出すから驚いたり、怖がらないで欲しい。数がそれなりにいるから、もし誰かが頭の中で話しかけて来たら、前に出て来てね。蜘蛛が念話で君たちの誰かをマスターに選んだことになるかな。どうしても、蜘蛛が怖いとか、蜘蛛をテイムしたくない子は、そっちのシスターの側に、最初から移動してくれるかな。蜘蛛にシスターの側にいる子は、選ばないよう伝えるから」


シスターの方からも、今後は温室に作った小屋に、夜は蜘蛛を入れる事。

生き餌の蟲も、テイム出来た子が管理する事になると話す。


子供なりに、テイム出来たら新しい友達が手に入ると理解したのか、シスターの側とレアの側に来る子で別れた。

シスターの側に居る子には、蜘蛛が怖いと言う女の子が多かった。

ここで蜘蛛全てがテイムされなくても、冒険者の適性ありそうな人か、まだ会っていないエルフの誰かを紹介してもらおうと考えている。


「なら蜘蛛だすよ」


空間魔法で、ドアを出す。

念話で、クーにシスターの側の子を選ばないよう伝えると、開けたドアから9匹の蜘蛛が出て来て子供達と対峙するように並んでいる。

クーを通してどう言った状況か、話してもらっているので、理解してくれたようだ。


「オッ、俺か?」


ビックリしたようにラルフが、声を出す。

どうやら子供達よりも、冒険者のラルフを選んだようだ。

側に寄っていったのは、火蜘蛛だった。

性格からしても、ラルフに合いそうだ。


「あっ、てか良いのかな」


遠慮するように、声を出したのはエイルでテイムしたのは水蜘蛛のようだ。

冒険者をしている2人なら、ちょうど良く違う属性の蜘蛛をテイム出来たのは大きい。


「ずっるーい!」


私だってと、続けようとしたマヤに花蜘蛛が近づく。


「やった!私マヤだよ」


よろしくね。と、花蜘蛛を持ち上げる。

良いなぁと、マヤを見るラトに火蜘蛛が近づく。

何と、ラトが誰か探す仕草をする。

蜘蛛でなく、友達が声をかけたと思ったようだ。


「ラト、君を選んだのは火蜘蛛だね。冒険者になりたいって言ってたよね?おめでとう」


レアは、まだよく分かっていないラトに話しかける。


そうやって次々と、蜘蛛をテイムして行く子達だ。

残りの糸蜘蛛3匹は、シーナ、ヘルダ、ネメアドがテイムし、花蜘蛛2匹をカールとキャスティがテイムした。

蜘蛛をテイムしたいと言ってた子は、見事にテイムしたが、キャスティの様子がおかしかった。


「こんにちはキャスティ。私はレア。元ここに居て成人したからたまに訪れていたんだ。何を怖がってるのかな?」


私なんかと、自己否定を呟いているキャスティにレアは話しかける。


「だって、村のみんな私は生まれちゃいけない存在だって」


ぼろぼろと泣き出すキャスティに、呪の事を話していないからだと分かった。


「シスター。見てられないです。どんな状況かだけでも、話した方が良いかと」


「そうね。みんな新しい友達と、遊んでてくれるかな」


キャスティを、室内の談話室に連れて行く。


レアだけでなく、ナナカと、ラルフとエイルも着いてくる。


「さて泣き止んで。この子も、君を心配してる」


「そうよ。キャスティ。ここで貴女を否定する人は居ないわ」


シスターが、キャスティの涙を拭ってやる。


「これから話す事、他の人に広めないようにして。状況判断はまかすけど、キャスティ魔力ないって言われたんだね?」


レアが、確認するように聞く。


「魔力ないから、生まれちゃいけないって」


村に居た頃に、自分を否定されたのが悲しかった。


「それね。原因あるんだ。キャスティは知らないけど、私には鑑定って言う他人のステータスが見れるスキルがあるの。シスターに話したんだけど、どっかで変な石とか触らなかった?その石が原因で、キャスティの魔力がないように見えるだけなんだよ」


「あたし、魔力あるの?」


泣き止んで、驚いてレアにたずねる。


「今ね、シスターが司祭様に来てもらう手続きしてるから、司祭様が来て解呪って言うスキルでキャスティにかかった変な事を解いてもらう予定だった。司祭様が来るのにかなり時間かかるから、キャスティに話してなかったんだ」


だから自分を否定して悲観しないようにと、レアは話す。


「無事、解呪できたらこの手の甲もお姉ちゃんが綺麗にして上げるから他の子と、仲良くして待ってて欲しいな」


魔法で治せるし、村の人達を見返してやれると教える。


「シスター。こうなると早めにこの子だけでも解呪したほうが良いです。大人の都合を、子供に理解しろってのは無理です」


最悪チートで解呪を、レアが手に入れれば早いがそうなると転生者とばれてしまうだろう。

出来るなら周りにばれないようにしたい。

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