第36話 戻ってきた日常 2
生き餌配達は行く都度、配達先の人達に大丈夫なのか心配されてしまった。
「やっぱさお前、かなり有名人じゃないか?」
通りを歩く町民から冒険者と誰かまわず、レアに話しかけてくるのだ。
今回の事件の被害者で、名前が知れるのは仕方ないだろうが、こう顔まで知られているものだろうか?
「孤児院に居た時から、似顔絵屋してたからかな。絵描けるって話したよね。馬車乗り場側で、やってたしね」
製紙スキルと言うかなりマイナーなスキルから出した紙を使って似顔絵描きをしていたからか、自分の顔を描いて欲しいと、かなりの数をこなしたのだ。
小さな子供が、変わったことをしていると好奇心から声をかけた大人は、前世のように写真と言う記録媒体がないこの世界で、手鏡か水面に写る自分の顔を見るくらいしか確認出来ない。
絵描きが居ても貴族のお抱えで、一般の町民には馴染みがないし、レアの似顔絵が物珍しくレアを知る者が多い理由だった。
「冒険者の人達は、今回ので顔覚えられたのと、鑑定した人も居たからそれ繋がりかもね」
配達はこれが最後と、配達を終えて遅い昼食に屋台の串肉をナナカに奢る。
「配達の蟲は、毎日か?」
空いてるテーブルに座って、屋台で購入した物を置く。
「大体、1週間に1回くらいかな。蜘蛛の食欲次第だから、今回は事件の影響かもね。私しか生き餌販売してないから」
甘だれの串肉も、なかなかいけるなと思いながら言う。
「鑑定使えるお陰で、危険性まで見えるんだ。鑑定ない人は、生き餌は危険な種類もいるからオススメしないかな」
イモ蟲とか、簡単そうだが種類を確認して採集しないと危ないと教える。
毒飛ばしたり、針飛ばしたりもいるから見た目で判断しただけでは分からない。
「そうなのか?あと似顔絵はどんなのだ?」
絵が描ける者が周囲に居なかったのと、紙は高いのだエルフに絵描きは居ない。
「見る?んと」
アイテムポーチから紙束を出す。
ハガキサイズが慣れているのと、持ちやすいので記録用に丁度良いのだ。
「これ色ついてる」
「それこれで色塗った」
画材スキルで出した色鉛筆を取り出す。
「製紙スキルから画材スキルに、レベル上がったら自分の魔力変換で作り出せるようになったんだ」
不思議だよね。と、レアが言う。
「そんな話聞いたことないぞ!」
「うん。製紙スキルって、マイナーすきでゴミスキルって言われてる。諦めず10年以上使い続けたから、使えるようになったみたい」
物心つく頃から、使い続けたのだ。
転生者特典のチートがあるからだろうが、普通に製紙スキルを使い続けても、多分画材スキルにレベルは上がらないだろうと思う。
「鑑定、空間魔法にその画材スキル。ヤバすぎる」
レアに護衛が必要な理由がわかり、頭が痛くなってくるナナカだった。
「食べ終わったら、孤児院に行くから」
「アインスに報告したいから、早く戻りたい所だけど、理由あるんだよな?」
「うん。亜空間の蜘蛛、テイムしたい孤児達に出来るか試すのと、商業ギルドから大量の小麦配達されるだろうからその話もね」
ついで生き餌の蟲も、置けそうなら置きたい。
まだ魔道具は付いてないが、魔道具が付くまでシスターに管理頼めるならお願いしようと考える。
「驚かされることばかりだ。紙出すやつは、どんな風なんだ?」
画材スキルは聞き慣れないし、どんなものか分かるなら知っておきたい。
「このサイズならこんな感じ」
その場で、ハガキサイズの紙を出す。
「原材料必要なし。いや自身の魔力か」
紙片くらいしか使えないとされたのが、こうも簡単に出されると有用性が見えてくる。
「紙は、そんなに魔力いらないんだけど、色鉛筆とかだと12色セットだと半分くらい魔力減るね」
生活魔法使って魔力を使い切るより、魔力を減らしやすい。
「となるとレベル上げは魔力中心に上げて、なおかつ逃げ切れるだけの速さってとこか」
レアの場合、無理に強くなるより敵から逃げきる速さを中心にした方が良い。
今回のような誘拐から、少しでも逃げ切れるようにしておく必要がある。
となると、隠れたり逃げる助けになるスキルか、魔法だろう。
冒険者レベル上げも頼まれたから、レアを森やダンジョンに連れて行った時にそれらが付きやすくする行動が必要になる。
気配察知や隠密などのスキルを手に入れる場合、逃げる事を中心に行動させた方が、スキルが付きやすい。
「てか今回の逃亡で、隠密とかのスキル付かなかったのか?」
「あー。そう来るか。アインスさんにも話してからって考えてたから、スキルと魔法は後でにして欲しいかな」
やっぱり気づく人は、気づくようだと思った。ナナカはエルフだが、熟練の冒険者なら分かるのかもしれない。
「わかった。となると聞いた限りなら、魔力をもっと上げたいんだよな?」
手っ取り早く魔力を上げるなら、使い切る事だ。
「それなんだけど、画材スキルで寝る前に魔力使い切って寝るようにしてるから、魔力の上がりはそっちでも出来るよ」
聞けばレベルに対しての、魔力数値がかなり多い。
「規格外すぎる」
父方の祖父母はエルフだが、父親が先祖返りの人族で、母親は多分人族として、見た目だけなら人族にしか見えないレアだが、こうして話を聞いているとかなりおかしい。
どの割合で、他種族が混じっているのか分からないが、魔法とスキルはかなり特殊になりそうだ。
「まぁ、アインスにも詳しく話してないなら話した方がいいな」
レアのレベル上げは、後で決めるとして孤児院に向かうことにする2人だった。
食べ終えてから、孤児院に向かいつつ屋台に珍しい物がないか見ていく。
「ダンジョンから食材になる物が、かなり取れるみたいだな」
「詳しく聞いてないけど、入っていくつかの階層が食材になる物多いって聞いた。下いくほど、魔道具や貴重な物手に入るみたいだね」
植物採集に魔物からのドロップと、かなり発見されている。
こう沢山の物が潤沢に手に入るダンジョンには、人が多く集まる。
冒険者だけでなく、移民希望の者と、ダンジョン発見から活気があふれている。
「この辺は、変わった物なさそう」
「俺には、かなり珍しい物ばかりだけどな」
エルフのナナカには、目移りする物が多いらしい。
外見を誤魔化す魔法で、見た目人族らしいがレアには普通にエルフに見える。
エルフと知っている者には効かないらしく、どういった魔法か気になる。
「そうそう、蜘蛛テイムしたなら蜘蛛が背中に入る構造のマント作るか、その辺の店で探した方が良いよ」
レアの方は、クーが背中にトレンチコートの雨よけのような部分を作りすっぽり収まっているので、後ろから見て蜘蛛がいるように見えないが、膨らみで見る人が見れば分かる感じだが、ナナカの方がまんま背中に引っ付いているからか、時折ギョっと驚いている人を見かける。
「となると、作って貰うかな。他に持っていた方が良い物とかあれば教えて欲しい」
「アイテムポーチはあるんだよね?」
「ある。このお陰で、旅が身軽で助かってる」
「なら蜘蛛の餌入れかな。中身もね」
跳蟲、イモ蟲なら、巾着袋が代用出来る。
羽蟲も先に羽をむしっておけば、使えるが見た目が悪い。
羽蟲の種類に寄って羽を加工すれば、装飾品にも使えるが、余程綺麗な羽でない限りレアは捨てている。
「死骸しか入らないから仕方ないんだけど、その子花蜘蛛だから餌は羽蟲をなるべく用意した方が良い。私がやってる生き餌の跳蟲も、食べれはすると思う」
蟲採集の捕虫網と、蟲を入れる籠もあれば捕まえるのが楽と話す。
1番は、蜘蛛を森なり平原に連れて行き食べた蟲を捕まえるよう言い聞かせれば、なお楽だと教えた。
「まぁ私が一緒すれば、亜空間に入れておけるけどね」
「ならさ。鍵欲しい」
「鍵?」
「薬師のマナスルさんが、亜空間に出入り出来る鍵持ってたよな?」
言われて確かに空間魔法が使えない者でも、鍵があれば使えると思い出した。
「んー。あーまだダメだ」
部屋が一つしかない為か、条件を満たしていません。と表示が出たと教える。
「熟練度が足りないのかな?空間魔法に詳しい人に話聞いた方が早いか、図書館で調べるしかないか」
この町に、図書館はあるが銀貨1枚支払って入場なので利用者が少ない。
必ず自分が知りたい事の本があるかも分からないので、一般の町民の利用はほぼないのだ。
本のほとんどが手書きと言うこともあり、印刷技術の発達が遅れているせいだろうか。
なので金さえ払えば入れるが、図書館は主に貴族向けだ。
「なら冒険者ギルドの資料室は?」
ナナカが、図書館よりもそっちの方が使えるとレアに教える。
冒険者ギルドなら、必ず資料室があり冒険者なら無料利用可能なのだ。
理由は、そのギルドの周辺にいる魔物の記録や採集品の記録が多いが、冒険者に有利なスキルや魔法の本が置かれている。
いつ魔物のスタンピードが起こるか分からないので、冒険者ギルドでは魔物の資料は必ず置いている。
「そっか。普段利用少ないせいか、全く考えつかなかったよ」
今なら、ダンジョン発生でダンジョンの資料も、日々増えているだろう。
時間がある時に、覗いてみようと考える。
「でも、商業ギルドにはそう言った資料室なかったよ」
「商売に関わるのは、基本秘匿するみたいだな。他に金儲けされても困るって考えじゃないか?まぁ商業ギルドなら、せいぜい近場の町や村までのマップくらいかもな見せられる資料はさ。スキルマップあれば、見るだけで覚えるけどな」
スキルマップ持ちなら、町の名はマップに現れるから分かるが、行ったことの無い場所だと道の表示が出ない。
自分で歩くか、既にあるマップを見れさえ出来ればスキルマップが反映するそうだ。
「やっぱりスキルや魔法って色々あるんだね」
ナナカと色々話つつ、孤児院に着いたレアだった。
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