第34話 その後
町になんとか戻ったら、まず門の側でエミリーが抱き付いてきた。
わんわん泣いて、本当に無事で良かったと何度も言われ、エミリー引っ付けたまま冒険者ギルドに向かい、そこで待っていてくれた人達にもお礼を言ってから会議室に移動して、誘拐された後の話しをする事になった。
エミリーとは、無事だったしまたゆっくりできたら色々して貰いたいと話して先に帰ってもらう。
まず商業ギルドを出て直ぐに、捕まった。
それからは気づいたら、捕まった時にすっぽり袋に入れられて、クーがその袋破ってくれて周りを見れば穀物袋に囲まれていた。
何とか抜け出そうと袋の壁取り払いたくて、こうアイテムポーチにどんどん入れたと話す。
「あーこれの扱いどうなります?」
入れていた中身入り穀物袋を、次々出していく。
「犯罪者の物は、手に入れた者に権利ある」
冒険者ギルドのサブマスが、レアの物だと教える。
「中に、こんなの入ってるみたいですけど?」
袋に入っていた装飾品を取り出す。
「コレらも、私の物?」
袋を開けないと分からないが、かなり色々入っていると思う。
「全部そうなるが、中身確認したのか?」
一袋だけ開け、半分まで見たが確認しきれてないと話す。
「盗品でないなら、ダンジョン産だろうが袋はこれで全部か?」
頷いて、これどうすればいいんだろうと思う。
中身の穀物は、多分全て小麦だろう。そっちは、孤児院に寄付するか商業ギルドに売りつければ処分は簡単だ。
「レア嬢ちゃん。商業ギルドで確認するぞ。そこにいる奴がのぅ」
カウルじいさんは、レアが無事と分かってから機嫌が良かった。
今回の事件のキッカケになったヤナサに、全部鑑定させると話す。
会議室には、冒険者ギルドのサブマスと商業ギルドのギルマスに、町の兵を束ねる責任者と、レアの所属する工房のララーザに、薬師ギルドのマナスルやエルフのアインスにナナカと最低限の関係者が集まった。
「所で、見た限りでは大丈夫そうだが森で危険は無かったのかね?」
冒険者ギルドのサブマスが、被害者らしくないレアにたずねる。
普通、拐かされ被害者がこう元気なのはありえないが、直ぐ逃げ出した事で悲惨な目に合わなかったからだろうと思った。
「それなんですが、逃げてた時に新しい魔法やスキルを運良く手に入れたので比較的安全でした」
スキルマップは、迷う心配なく森の中を進めたし、休む時は覚えた空間魔法を使っていたと話す。
「通りで見つからない筈だな。なんにせよ、君を攫った連中はもう居ない」
ただ闇ギルドの可能性が高いと、今後も気をつけるように言われた。
どんな犯罪でも請け負う者達の集まりらしく、実態がつかめずただ国をまたぎ大きく活動してる集団らしい。
「あと森にいた時に蜘蛛の中立地帯で、マスターが欲しいと言う蜘蛛連れて来たんですが、孤児院の子にテイムさせて構わないですか?」
蜘蛛の森での蜘蛛をテイムするのは、大体半年に1回のペースで希望する子を中立地帯に連れて行く。
何故半年に1回かは、そのペースで子蜘蛛が生まれるので、レベルが低いほどテイムしやすいからだ。
「森に居たせいか、クーが念話出来るレベルまで上がって仲間と会話して私に頼んで来たんです」
中立地帯は森にいくつもあるが、大抵は浅い場所にある中立地帯でテイムするからか、森の奥に居る蜘蛛があぶれやすい。
「その蜘蛛は?」
「空間魔法で、別の空間かな?部屋って言うか」
とにかく、説明が難しい。
「マナスルが見せたアレと同じと、考えれば良い」
カウルじいさんが、薬師ギルドで隔離しているレアを攫った連中の処置をレアに教える。
「攫った人達は見たくないけど、その空間は興味深いです」
使い方のヒントになるかなと、ドアの出現とちょっとだけその場所を見せてくれるようで、会議室に見慣れないドアの出現から、鍵を持っていれば部屋作製した者以外の使用可能で、開いたドアの前の廊下にいくつもあるドアと、レベルが上がるとここまで広げられるんだと知った。
「じゃあ私のも見せますね。中に蜘蛛とかいるんで驚かないで欲しいをですが」
レアの空間は、ドアを開けると部屋といった状態で、中に居た蜘蛛は寛いでいたようだ。
「せっかくの森だったので、ついでに採集もしたんで、ごちゃごちゃしてますが」
全員入るには小さいが、蜘蛛の数で驚かれてしまった。
「嬢ちゃん。多くないか?」
「そうかなぁ?マスター欲しい子だけ連れてきたんだけど、あーまだダメ」
出ようとする蜘蛛に注意するも、何故かナナカに1匹の花蜘蛛が近づいている。
「へえっ。お前花蜘蛛って種類なのか。なんか他の場所の蜘蛛と違うな」
ナナカの側で、何やらゼスチャーしているようにも見える。
「あー。アインスさん。蜘蛛テイムしちゃってるけど、この子飼えます?」
クーからこの蜘蛛が、ナナカをマスターにしたいと念話が来たのだ。
「テイムは問題ないが、良いのか?ナナカ」
蜘蛛の森の蜘蛛をテイムした場合の条件を知らずテイムしてしまっているナナカに決まり事を教える。
「大丈夫だろ。森には普段からいくだろうし、ただ餌確保は必要だよな?」
「餌なら、私が渡せるよ。どうしても無理な時用にこの子花蜘蛛だから、蜜と魔水を混ぜた物なら短期間なら大丈夫かも」
まだ蜜と魔水の組み合わせを見つけて間がないので、検証が必要だと教える。
「とりあえずこれ渡しておくから、非常食用に使って」
蜘蛛を連れて来た責任上、フォローは必要だろう。
丸蜜と、魔水入り瓶を渡しておく。
「丸蜜!嬢ちゃんソレをどこで」
カウルじいさんが、目敏く聞く。
「森で分けてもらいました。花蜘蛛と共生してる蜂なら交渉で手に入りますよ」
ただし、念話出来る蜘蛛をテイムしている人限定だ。
最近はダンジョンのアリ蜜が出回るようになったが、森の丸蜜も人気は高い。
「依頼が出ても、見つからんかったのは」
「森の花蜘蛛が、隠していたからかなぁと?」
蜘蛛の森なんだから蜘蛛と、念話出来れば解決したかもと話す。
「あと、心配かけてすみませんでした。ルシアス様が散財したと聞いたので、代わりにコレが使えれば元は取れる可能性高いです」
受けた恩を返す主義なのは、前世の日本人の国民気質も影響していたが、この世界1人だけが儲けすぎるのは身の危険と判断してだ。
周りも同じだけ儲けるなら、仲間は増やせるし安全もより上がる。
ララーザに、茜に似た植物を渡す。
鑑定では染料に使えると出たが、ピンク系の色になるかまではわからない。
「これは?」
「上手くいけば、女性好みの色を作れるかもしれません。作り方が鑑定で見えた分はメモしました」
書いた紙もついでに渡す。
森で暇になっていた時に、採集した物を鑑定して分かった事を書き込んでおいたのだ。
「レア、無事でなによりですが、あまりルシアス様を甘やかさないように。あとそちらの方がたがこの町に滞在する間の建物も、決めたようですからしばらくはそちらから通いますか?」
攫われる前に、領主と話したレアのレベル上げも必要なら、なるべく一緒に行動した方が良いと判断してだ。
森なり、ダンジョンなり引率者がいるならレベルを上げやすい。
聞けば、採集しながら逃げ回るを中心にしていたからか、蜘蛛はレベルが上がったが、レアのレベルは変わらないようだ。
「生き餌の蟲管理は、残していた手帳で工房若手に慣れさせるようにしますから、定期的な補充と配達する者を別に雇うと考えています」
「それなら、孤児院の子に補充用を配達するようにして、ついでにその子達を使えば良いかもしれません」
管理を覚えさせれば、成人後商売してくれるかもと思う。
孤児院の子にテイムさせる連れて来た蜘蛛は、マスターさえ決まれば直ぐに念話が可能で、孤児の子が町中でも護衛代わりになるかもと話す。
ただしばらくは、レアが管理して教えるつもりだ。
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