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「では、改めて聞くけど、あなたは何者なの?」

レイナが男に向かって問いかける。男は怯えながらもはっきりとした声で答える。

「ヌーガー騎士団の団長ゴルガです。」

ロムは騎士団の名前を聞いて首をかしげる。

「レイナ、知ってますか?」

レイナは小さく頷く。

「ええ。ギルドの情報通りね。」

「ギルドの情報って、レイナの依頼に書いてあった物ですか?」

ロムがローブから依頼書を取り出す。そこには、大きな力が関与している恐れがあると書いてあった。

「そうよ。ロブフォンって国があるでしょ。」

「あの国ですか。よく密偵や騎士団を差し向けてきますね。」

少し呆れた声で、ロムは答えた。

「その国の騎士団の一つよ。」

「でもあの国の騎士団は規模の割には大したことがなかった気が。」

何度も退けているからであろうが、辛辣な言葉を口にするロム。

「その大したことのない国が、なぜか騎士団を新設、さらにその目的が周辺地域の治安維持。その真意は何?」

男を見て尋ねるレイナ。

「ゆくゆくは我が国の領土になるのですから、治安維持は必要でしょう。」

「どうやってって、聞くまでもなかったわね。」

レイナが大きくため息をつく。嫌な予感が完全に当たってしまったというため息だ。

「黒きモノの模倣体を使っての侵攻。で、ヌーガー騎士団はその使用試験も兼ねていた。という事?」

「そうです。」

男は、レイナの推測を肯定する。

「じゃあ、ロブフォンではすでに模倣体を量産しているという考えでいいのかしら?」

「そこまでは判りません。」

新設の寄せ集め騎士団の一団長では判らないだろうと考えるレイナ。

「模倣体は、三匹居ると聞いたわ。人型と犬型の二匹は封印したけど、後の一匹はどこ?」

「封印?!」

突如大声で驚くゴルガに、二人は一瞬たじろぐ。

「え、ええ。今頃は、入り口付近の道の真ん中で石になってるわ。」

レイナがその場所を指して話す。

「あれを封印出来たのですか!」

「え、えぇ。」

ゴルガの突然の質問攻めに、若干戸惑うレイナ。

「なんでそんなに驚くの?」

「あれは、私たちにも制御できなかったので。」

「制御できないものを侵攻に使うなんて。」

呆れ果てた顔をするロムと、怒りの表情を隠せないレイナ。

「ですから、あなた方が私たちに協力していただければ・・・。」

「ふぅん・・・。そう。」

それを聞いたロムがローブをごそごそと探る。

「レイナ。まだ、足りないようですね。」

ロムの右手には木の棒が握りしめられている。

「ヒッ・・・」

ゴルガはその木の棒を見て、再び怯む。

「笑えない冗談は、怪我の元よ。素直に、残りの模倣体の場所へ案内して。」

「は、はい。こちらです。」

ゴルガは急いで立ち上がって、二人に案内を始めた。

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