『幸せ』とは?

前編


 昨今さっこんで言うところの『パソコン』や『オンライン』の需要は高まってきている。


 それは『ゲーム』や『音楽』と言った『娯楽』に留まる事はなく、それこそ『仕事』という面でも大きな役割を果たしている……という企業も多いだろう。


 人によっては『通販』でも、ここ最近は『電話』だけでなく『ネット』を活用したモノも多い。


 しかも『ネット』を介せば、遠い……それこそ、外国にいる相手とも連絡を取ることが出来るのだから、とても便利だ。


 確かに『ネット』は、たくさんの情報が行き交っており「その中から『本当』と『ウソ』を自分自身で取捨選択しなければいけない」という点や「いつの間にか知らない人と繋がっている」なんていうデメリットも数多くあり、気をつけなければならない。


 だが、それでも『利便性』という大きなところで、たくさんの人が利用し、今や生活に切っても切れない『大きな存在』となっている。


◆  ◆  ◆  ◆  ◆


「ふぅ……」


 そんな『ネット社会』の中にいる私は、今日もパソコンに向かっていた。


 私は大学生なのだが、今日は大学で授業があり、その授業が終わった後に、外にあるベンチでこうしてパソコンを使ってレポートを書いていたところである。


「はぁ」


 一通り書けたところですぐに忘れず『保存』をし、軽く伸びをした。


 前回『保存する』を押すつもりが間違えて『保存しない』を押してしまい、それまで必死に書いたレポートを無下にしてしまった経験がある。


「さっ、さすがに同じ間違いを二度はしてなるものか……」


 なんて、一人でブツブツと呟いていると――。


「よっす!」

「ん? ああ、終わったの? 授業」


 上から声をかけられ顔を上げると、そこには友人がカバンを肩からかけて笑っていた。


「うん、本当に助かったよ。連絡くれて。あのままだったら確実に遅刻していたわ」

「ちゃんと目覚ましかけないと」


 私がそう言うと、友人は「そうだよね」と言いつつ苦笑いをしながら、カバンからお弁当を取り出した。


 ――そういえば、そろそろお昼時ね。


 なんて思いつつ、私も友人に倣い、パソコンを片付けて、代わりに昼食用にコンビニで買ってきた『おにぎり』を二個と『サラダ』を取り出した。


「うーん、ちゃんとスマホに設定したはずなんだけどなぁ」

「あんたの場合は両方必要なんじゃない?」


「目覚まし時計だけじゃ足りないから、スマホも導入したんだけどな」

「それを使ってもダメなのね……」


 この友人とは小学生からの付き合いなのだが……とにかく寝起きが悪い。


 私も別に毎回モーニングコールをしているワケではない。ただ、なんとなく「起きている……ワケないよね」と、連絡してしまうのがもはや『習慣』になっているだけだ。


 だが「自分の見たい番組が朝から」とか「旅行前日に楽しみすぎて寝られなかった」という『自分が楽しみにしている事』が絡んでいなければ、自力で時間通りに起きられた試しがない。


 私としては「小学生か!」と言いたいところだが、本人的には「このままじゃダメだ!」とどうにか努力をしようとしているのが見えるので、この話はここで終わらせよう。


「それにしても、今日は自分の部屋じゃなくて、こっちでレポート書いてたんだ」

「まぁ、ずっと部屋にいても……ね」


 たまには、こうして外に出る日があっても良いと思う。


「そうだよね」

「それにしても……」


「ん?」

「そのゲーム。面白いの?」


 友人は私と話をしながらスマートホンをいじり始め、そのゲーム画面がちょうど私から見えた。


「うーん、分かんない」

「え、分からないのにやっているの?」


「なんかこのゲームが面白いって話題らしくて」

「それで始めたの?」


 私はあまりゲームに興味がなく、テレビもあまり見ないため、こうした『流行はやり』の情報にはとことんうとい。


「そうそう。一応、流行には乗っておこうって。それに、やっていったら意外にはまるかも知れないでしょ?」

「それはそうかも知れないけど……」


 確かに、友人の言う事も一理あるとは思う。


 だが、なんでもかんでも「とりあえず乗っておこう」というスタンスは、私はあまり好きではない。

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