概要
夕暮れの道で出逢ったのは、防空頭巾を被った子供であった。
東京から父の生まれ育った農村に疎開した少年、修一は、そこで一匹の野良犬と出会い「シロ」と名付ける。
そして日本の敗戦が目前に迫った、昭和二十年八月。巨大な死の影が空を覆うような黄昏の道に、“それ”はひっそりと佇んでいた。
そして日本の敗戦が目前に迫った、昭和二十年八月。巨大な死の影が空を覆うような黄昏の道に、“それ”はひっそりと佇んでいた。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!行ったこともない茨城の山野に迷う
泣いてしまいました。
お話の流れとしては、「そうだろうなぁ」と、どこかで行き着くであろう悲しい結末の予感を覚えるものかもしれませんが、月浦さんの表現が逐一五感に触れてくるというか、丁寧で、修一が悲しいと思えば悲しく、ひもじいと思えばひもじく、恐ろしいと思えば恐ろしくなるような。どんどん感覚が主人公の中に取り込まれていく妙に唸らされました。
夕暮れ。暗がり。黄昏時にどこかから聞こえる牛の声。漂ってくる夕餉の香り。繋いだ手の薄ら寒い感触。
そんな風に一緒に歩いて慄きながら逃げて、どこかで分かってたつもりだったのにシロとの別れにホロリと来てしまいました。
どうか、修一君には幸せになってて欲しい。物…続きを読む - ★★★ Excellent!!!シロが闘ったのは、戦争という魔物かもしれない。
『逢魔ヶ刻』、またしても泣かせてくれました。
相変わらず、文章は素晴らしく構成も見事です。そしてそれ以上に、戦時下に生きる修一とシロの関わりが、切なくもゆるぎない絆となって、私の胸に焼き付いて離れません。
私の親からも、戦争疎開時の話はたびたび聴くことがあります。幼少時ながらも当時の記憶を鮮明に覚えており、その訴えてくる様には迫力があります。ゆえに、色褪せることのない史実なのだと、思い知らされる次第です。
シロが命をかけて闘った化け物の怪奇、そして終戦。
【みちくさ怪談朗読】でも、コメントいたしましたが、シロが闘ったのは、戦争という魔物ではないかと思えてきます。結果、命を犠牲にして修一を護…続きを読む