君とさいごの電車旅 ~N Ver.~
Twitter300字SS第56回お題「旅」より
(300字、改行・スペース含めず)
「このまま、何処までも行こう」
電車に揺られながら、君がいつになく真面目な顔をして言う。
だから。
「ごめんね」
わたしも真面目な声で返した。
「わたし、カムパネルラなの」
君の顔が今にも泣き出しそうに歪んだ。
ごめんね。
わたしだって、いつまでも君と一緒にいたかった。今も繋がれたままの手の温もりさえあれば、幸せだった筈なのに。
でも。
「君は目覚めなきゃ」
ついに泣き出した君の頬にそっと口付ける。
「わたしは、次の駅で降りるわ。そして、いつかまた君がこの電車に乗って迎えに来てくれるのを待っているから」
そして、もし再会できたら、その時は。
「今度こそ、何処までも一緒に行きましょう」
例えその旅路の果てが、地獄であっても。
【了】
→同じ冒頭から始まって異なるエンディングに着地する話もあります(~Y Ver.~)
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