泣いたサンタ
Twitter300字SS第38回お題「贈り物」より(300字、改行含まず)
我が家のサンタの正体を幼い娘は既に知っていた。
何でも枕元にプレゼントを置くサンタを、たまたま目撃してしまったとか。
我が家のサンタはサンタ服を着ないし、白い髭もない。
正体はすぐにばれただろう。
ただそのことを、当のサンタ本人は未だに知らない。
今年も我が家にサンタが来る時期になった。
いつものように娘の枕元に参上したサンタは、そこに一通の手紙を見つけた。
まだ覚束ない字で綴られた手紙には「いつもぷれぜんとありがとう」の言葉と、何処か我が家のパパに似たサンタの似顔絵が添えられていた。
どうやら今年はサンタもプレゼントが貰えたようだ。
翌日、普通の生活に戻ったサンタの目元が赤かったことは、本人にも娘にも内緒だ。
【了】
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