第84話『脇役の使命』
ここは世田谷豪徳寺・84(忠八編)
『脇役の使命』
結論は、もう出ていた。
孫文章とオレは立会人にされていることが、話し合いの途中で分かった。
C国は三つに分裂しようとしている。東北部と中部、そして南部に。SU自治区とC自治区は独立を認めるという形で放り出された。
分裂し、それぞれが独立しようとすると、この二つの自治区は、かえって重荷になったのだ。それで独立と言う名誉を与えて切り離そうということらしい。あくまで主役は、東北部、中部、南部の三つの地域だ。その証拠にSUとCの自治区の代表者は、この新陽という東北のC国分離独立の会議には呼ばれてはいない。
ちょっと身勝手かと思ったが、この三つの代表者の目標は一つ。混乱を最小限に抑え、秩序を維持しながら三つに分かれることであった。それも早急にやる必要がある。一日遅れれば、その遅れを取り戻すのに一年は余計にかかってしまうほど事態は切迫しているのだ。軍は静観しているが、これも放置しておけば軍閥化し、ここにいる代表者たちを排斥し軍政をしきかねなかった。
「……という大筋で合意し、結論を軍と、それぞれの国民に発表するとうことで。孫大人ご了解ねがいます」
「血が流れないのなら、それで結構。こんなジジイの顔が役に立って光栄です」
「我々は実務はこなせますが、人民を納得させる徳がありません。ほんの数か月ではありますが、三分独立までの間のC民主共和国の総統をお願いします。この国を無事に分けるのには、C朝を倒した孫大聖の孫のお顔が……」
「みなまでおっしゃるな。自分の役割は、よく心得ております。しかし、こんな博物館にこそ相応しいジジイの効き目は半年が限度としていただきたい。それまでに、どうか、それぞれの場所で力を尽くされよ」
これっでまとまったと思ったが、文章のじいさんがとんでもないことを言いだした。
「百年前の革命が成就したのは、ここにいる四ノ宮君の五代前、四ノ宮忠義大人の力によるところが大きい。それは、ここにいる諸君や、各地方の指導者諸君はよくご存じである。よって、民心を一層安定させるために……」
ここから意味が分からなくなった。文花が通訳を止めてしまったのだ。
「お前の口からは言えんか……では、このジジイが代わっていうぞ。忠八君。この文花を嫁にしてくれたまえ」
「えと……」
と、オレが反応する前に、会議に列席していた代表者たちが、一斉に拍手した!
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