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ここにきて、今まで書いてきた意味を誰かから教えてもらう事態となった。本当にあの数時間で、敵はいなくなってしまった。まだまだだろうと思っていた矢先に、彼女は「もう敵は全ていなくなった」と言い出したのだ。あまりの呆気なさに、僕は思わず、能力を使って敵を捜索した。結果はゼロだった。誰もいなかった。何もなかった。四次元世界というパラレルワールドの概念だけが残って、何もかも消え去った。気がつけば、僕はいつもの大学への通学路に戻ってきていて、あの少女の姿も、他の能力者の姿もなければ、当然、目の前に量産型の敵兵士がいることもなかった。家に戻る。大学に通いだしてからは、一人暮らしだ。実家はそう遠いというわけでもないが、親の方針で半ば強制的に、独り立ちさせられていたのである。なんというか、すごくつまらない戦いだった。何度も言う。言ってしまう。期待していたものとは遥かにかけ離れていた。僕だけが空回りしていた。

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