42

とある研究所が敵の攻撃により爆破されたあの日、メディアでは報道されなかったが、生存者がいた。申河洋汰というその男は、被験者を務めていた。その研究所ではヴァーチャル・リアリティについての研究を長年続けており、彼もそれに携わってきていた。爆破は試験中に起こっていて、申河は頭にコードがたくさんついたヘルメットをかぶり、身動きがとれない状態で爆破を受けたにもかかわらず、無傷だった。【ナレッジ】から話を聞いていて、もうその時点でいろいろと可笑しかった覚えがある。そんな馬鹿なことがあるのかと。だが、携帯端末からアプリをダウンロードし、起動しただけで、自分も特殊能力を身につけてしまった以上、それを笑うこともできなくなった。戦いが終わると、【ナレッジ】のアンインストールと共に、彼の頭からヘルメットが外れ、それを接続していた本体もまた、砂となって自然消滅した。彼は普通通りに、今も研究に打ち込んでいるそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る