22

ところで、「北条沙雪」という彼女の名前を出しておきながら、僕自身の名前を出していなかった。一つ前の節にて僕の名字を呼ぶ彼女の台詞を書いたと思う。音淵燈環。これが僕の名前だ。ねぶちとうわ。名字が音淵。名が燈環。こう名付けたのが父なのか母なのかも、そもそもこの名前の意味すら未だに知らないでいる。今度訊いておかないといけない。そうは思ってから何年か経っている。個人的にはこの名前、結構気に入っている。さて、図らずも目にした君はどう読んだのか。やはり「おとふち」とか「おとぶち」と読んだだろうか。気にすることはない。まともに名字を呼ばれたことはないので、こういったことは慣れている。そうだ思い出した。確か僕の名前を、初見にも拘らず正しく読んだ人間が一人だけいた。それこそ彼女、北条沙雪だ。あの時に出会って、一緒に戦いを終えた後に、僕をフルネームで呼んだのだ。「ねぶちとうわ」君だよね?彼女はそう訊いてきた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る