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戦い自体が作業的かつ機械的であることには変わりなかった。ただ、同じ学校に同じ戦士がいるというだけで、いくらか心持ちは違った。彼女は無表情で戦っていた。攻撃を受けた際に少し顔をしかめる以外は、本当に鉄仮面。僕はその戦いっぷりを見て、いつぞや消滅してしまったリューネを思い浮かべた。僕が他人の視点を借りて眺めていた少女。僕と同じ能力を持っていた少女。多分、僕が初めて想いを馳せたであろう少女。彼女は僕よりも後に戦いに参加している。だがそれはもう意味をなしていない。ベータテストを経た「経験者」という優越感に、いつの間にか、僕は依拠してしまっていたのかもしれない。彼女が無表情ながらも健気に戦っている様子を見ると、僕は一体どうしてしまったのかと思うようになった。ますます戦いは捗らなくなってしまい、どうしようもなく呆然としてしまう。そうして自己嫌悪に陥る。どうにもならない。何もできない。振り出しに戻った。

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