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日常。非日常。日常。非日常。繰り返しだ。多分、この生活、戦いを続けているうちは、ずっと連続して円環するのだろう。日常だと信じていたものに「非」が付いて、それまで「非」が付いていた日常がいつも通りになっている。「非」は二つの日常を行き交うことになるのだ、恐らくは。そして非日常を終えたあとの夕方。「音淵君」いつも通り戦闘に赴こうとしていた矢先のこと。振り返ると彼女はいた。「あなたも、そうなのね?」彼女も白い箱と黒い箱を持っていた。彼女に関する噂は聞いたことがない。だけど彼女の格好は異端そのものだった。パーカー。チェーン。ヘッドホン。一目見ただけならば「痛い」格好。だけど僕は惹かれた。その格好に。容姿と言っても差し支えないかもしれない。動揺する僕を横目に「準備はいい?」とか言ってきて、僕が答える前に行ってしまった。彼女の名前は北条沙雪。僕と同じように、世界の命運を託され、それを受け入れた人間だ。

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