無愛想、だがそれがいい



2日ほどベッドに引きこもり、途中宿屋のおばさんに心配されたものの無事落ち着いてきました。


久しぶりに食堂に下りると、ギルドマスターの使いの方から、しばらくはギルドに来ない方がいいと伝えられました。

僕もそう思います。



今日、武器屋で短剣を探して食料とか買おう。

そして、明日には出発しよう。



百科事典を頼りに人通りの少ない武器屋を探す。


中央通りから外れた道にひっそりと佇む武器屋を見つけた。

事典によると、口数の少ない無愛想な店主が経営しているとのこと。



ドアを開けると、カランカランと小気味よいベルの音。


おおー、人がいない。

たくさんの武器が並んでることよりも、人がいないことに興奮した。


「………らっしゃい。」


店の奥から口の周りにたくさんの髭を蓄えたおじさんがのそのそと出てきた。

気だるそうに近くの椅子に座り、近くにある剣の手入れを始める。


ああ、こちらから声をかけない限りは我関せずなんだ。

なんて素晴らしい空間なんだろう。


僕は宿屋以外で初めて落ち着ける場所を見つけた気がする。



いつまでも浸っている場合じゃない。

短剣を選ばなくちゃ!


いくつか並べられた短剣を見る。

どれがどう良いのかわからないので、テキトーに選ぶ。



そして、手入れをしている店主さんのもとへ。


「こ、これください。」


「………冒険者か?」


「え? は、はい!」


「手を見せてみろ。」


僕は言われるがまま、両手を差し出す。

店主さんはしばらく見つめた後、おもむろに立ち上がり短剣コーナーに行く。


すると、一本の短剣を持って戻ってきた。


「……こっちにしろ。値段は一緒でいい」

「えっ、でも‥」


僕が持ってきた短剣よりも2倍以上の値段だ。


「………いい。合わない武器を買わせて簡単に死なれるよりましだ。」


この人は心配してくれたんだ。

見かけによらず優しい人なんだ。


「あ、ありがとうございます。」


「……ふん、金を払ったらさっさといけ。壊れたら持ってこい。」


お金を渡すと、のそのそと奥に行ってしまった。



僕は、もう見えない背中に向けて一礼し外に出る。


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