狂乱の女帝は赤に舞う



凄い泣きながら僕の足を掴んでいるララお姉ちゃん。人外の道を歩み始めたらしい僕でも振り切れない力強さがある。


だ、誰か助けて‥‥


周りにいる冒険者や受付さん達は、明後日の方向を向いて祈っている。

誰も止めてくれない。


「なんだこの騒ぎは!悲鳴が聞こえたぞ!!」


奥の階段からギルドマスターのゴートンさんが降りてきた。

良かった、助かる‥


「ララ、何をしている?おいコータ、何がどうなっている」


僕はあまりの状況に半パニックになりながらもなんとか、かくかくしかじか法で説明した。


「なるほど、お前がそのまま王都を見に行くと言ったからこうなったと。」


「は、はい。」


「王都を見たらまた戻ってくるんだろう?」


「はい、そそのつもりでした。」


「そうか、依頼を終えて王都観光して戻ってくるまでに早くて一月か二月くらいだろう。おい、ララいい加減に泣き止め! 王都に行くと言っても、ほんの数ヶ月の間だろ」


「うおおーん、そういう問題ではないでずぅ。愛を育む時間が‥時間が無いんでずー。他所で新たなライバルが増える可能性が‥‥可能性がぁー」


泣くというよりも、遠吠えみたいになっている。しがみつきも足から腰までに来ている。

やばい、意識が薄れてきた‥


「はあー、おいお前ら手伝え!ララを引き剥がすぞ!」


「えっ、い嫌です。こ、殺される!」


「そうだそうだ!笑顔でひたすらグーパンされる身にもなってみろ!」


「ええい、うるさい!あとで酒を奢ってやるから、これは俺からお前らへの指名依頼だ! 」


ギルド内にいる人たちは覚悟を決めたのか一斉にララお姉ちゃんを引き剥がしにかかる。


なのに、なおも僕の腰から離れることはない。この細い体にどれほどのパワーが備わっているんだ?


「くそっ、強い!だったら、コータ。上目遣いでいつものおどおどしい感じで『ララお姉ちゃん大好き』って言え!」


「ええっ!?」


「いいから早く言うんだ!」


僕は狂気の中にいるララお姉ちゃんに顔を向ける。

緊張で一つ心臓が跳ね上がる。


「ら、ララお姉ちゃん‥大好きだよ」


「ぶるふわぁっ!!」


鮮血が綺麗に舞い、天井を彩る。


ララお姉ちゃんの手が僕から離れる。


「「「行けぇーーーー!」」」


みんなの叫びが共鳴する。


僕は走った。

安寧の地へ。



布団に2日ほど篭りました。


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