幸せ者は誰?


少女が死んだ。

14歳でいなくなった。




父親は泣き崩れた。


母親は放心状態になった。


祖父は酒に逃げた。


祖母は「可哀想に」と嘆いた。


友人はしばらく引き籠った。


隣人は毎日黙祷を捧げた。







…実はこの中で一人だけ幸せ者がいる。

誰だろうか?


答えの為に少女の生い立ちを語ろう。




少女は温厚な父親、しっかり者の母親の間に産まれ順風満帆に育つ。

そして幼い時から話し上手であり友人も多く、他人から慕われやすい性格であった。


少女は多くの人により喜んでもらう為に音楽教室に通いピアノを弾いてみた

他の幼い子の為に絵本を描いてみた

両親や友人を驚かせる為に料理を勉強してみた。

それら一つ一つの行いは必ず誰かを幸せにし彼女の行いによって救われる者も多く、最終的に彼女は周囲にいる人々の心の支えとなったのだ。


そんな行いは徐々に才能となり、いつしか数々の大規模なコンクールで賞を取るほどにまで成長。

才能は噂になり、噂は広まり、広まったことで彼女は一躍の有名人となる。




14歳の少女は『天才』と呼ばれ…




そして急病でこの世を去った。


涙を流す家族に見送られながら。







そう、幸せ者のは少女だ。

少女は幸せであり続けたのだ。

少女は死ぬ間際ですら、幸福だったのだ。




もし、悲観すべき事があるとするならば


世間がそれをと水を差したことだろうか。

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