10

 ◇


 病院を出てマンションに戻った私は、真っ先にシャワーを浴び、素肌にダボダボのTシャツを着て、ベッドに倒れ込む。


 朝の陽射しをシャットアウトするように、部屋の遮光カーテンを閉めたまま、とりあえず死んだように寝る。


 これが、夜勤あけの行動パターン。


 空みたいに明るいブルーのシーツ。白は病院のシーツを連想するから基本購入しない。


 数秒後、すぐに熟睡。


 ――午後二時過ぎ、やっと目覚めた私はカーテンを開け、ノソノソとベッドから這い出し、洗濯機に衣類を詰め込む。


 保と怜子って、付き合ってんのかな?


 下着とパジャマって、同棲してんの?


 パンツも穿かせるなんて、やっぱりデキてるよね?


 もしかして?結婚しているとか?


 はぁ!?ありえない。

 だったら、どうして私にキスすんのよ!


 浮気、不倫、遊び、セクハラ、チャラ男、女たらし、野獣、けだもの……。


 洗濯機のブザーが鳴り、洗濯物を取り出し、ハンガーに掛けながらベランダに干し、その間もずっと彼のことを考えていた。


 私、どうしてこんなに気になるの?


 どーでもいいじゃん、あんな奴……。


 あいつを意識したら、それこそあいつの思うツボだよね。


 そう思っているのに……


 あの目と……


 あの唇を……


 どうしても忘れられない。


 キスされたことを思い出したら、自然と顔が火照ってくる。


 や、やばい。


 朝野雫、もしかして最悪かも。


 一週間、平常心が保てないかも。


 明日から……ど、ど、どうしよう。


 なんでこんなに、あいつのことを意識してるのよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る