第61話 心得違い
友達と一緒にコーヒーショップに入った。
僕は普段、カフェオレばかりを飲む。たまにはブラックもいいと思い、メニューを見て注文した。
容器を受け取ったあと、友達と喋りながらテラスに出た。今日は天気がよく屋外のほうが気持ちいい。
会話の途中、僕はコーヒーに口をつけた。
そして味について一言感想を述べた。顔をしかめて言った瞬間、となりの席がすこし騒がしくなった。しかし僕は気にしなかった。
やはりブラックはカフェオレと比べ、ちょっと飲みづらい感じがする。
もう一口飲んだ。そしてまた同じ感想を口にのせた。さっきよりも嫌気がさすような物言いで眉間にしわを集めた。
すると椅子がガタリと倒れる音がした。
ぼくは驚いて相手を見上げた。となりの席でコーヒーを飲んでいたらしき男性客が、もの凄い剣幕で迫ってくる。
突然、よく聞き取れない英語をまくし立ててきた。どう見たって怒っているのがわかった。
僕の鼻に指先を向け、何かについて早口で抗議しているのだ。どんどん高ぶる感情が、荒い口調と顔つきから伝わってくる。
僕はわけがわからなくなり、しかしとりあえずなだめようと思った。てのひらを見せて、「No.No」とかぶりを振って敵意はないことをアピールする。
だがその対応は、かえって相手を激高させてしまった。
結局、僕は一発ブン殴られ、床に倒れるハメとなった。客は頭に血を昇らせたまま去っていった。
友達に肩を借りて立ち上がったが、意味不明な出来事に困惑するばかりだった。
まったく、なぜ僕はこんな目に遭ったのだろう。あの黒人客のやったことに納得がいかない。
ただコーヒーの味について、一言発しただけなのに……。
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