第35話 ゴッド後藤
「参ったか? 先輩方よ」
シンヤが勝ち名乗りを上げるかのように不良たちに話しかける。不良たちからは返事がない。まさか死んじゃいないよな?
でも起き上がったらどうしよう……。僕ではとてもこの不良たちに太刀打ちできないだろう。
僕がシンヤの元に出て行こうか悩んでいると、シンヤが何かの異変に気づく。
「アンタ、なんでまだそんなに怯えてんだ?」
シンヤは助けた貧弱な高校生に声をかけていた。たしかに彼はシンヤの言うとおり、怯えている様子だ。なぜだ? もう不良はシンヤがやっつけたのに……何に怯えているんだ?
彼は視線をほとんど光の入っていない奥の路地に向けていた。彼の視線の先にシンヤは顔を向ける。僕もシンクロするように顔を向ける。角に隠れながらだが……。
路地の方を目を凝らして見ると、人影が見えた。人影はどんどん大きくなり、僕らの前に姿を現した……。
「マジかよ……」
僕は思わず、声を出してしまった。そこに出現したのは、身長は優に百九十センチを超えているだろう大男だった。
「おい、クソガキ、元気なことは結構だがなあ。舎弟どもをここまでボコられちまったら俺も黙ってるわけにはいかねえぜ?」
大男は拳を握り、ボキボキッと指の骨を鳴らす……。この大男、他の不良と同じ学ランを着ている。高校生なのか!? 顔のゴツさと体の厚みが完全におっさんだぞ!
「おい、てめえら! いつまで寝てんだ! さっさと起き上がらねえと俺が永眠させんぞ!」
大男がシンヤにやられた3人に声をかける。
「すいません……。後藤さん……。そいつ、思いのほか強くて……」
3人がよろめきながらも立ちあがる。
「泣きごとなんざ聞きたくねえんだよ! お前ら後で仕置きだな。こいつは俺がやる。お前らは手出すんじゃねえぞ」
「おっさん、4人で来てもいいんだぜ?」
シンヤが後藤を挑発する。
「へへっ! やっぱり元気なガキだな。気に入ったぜ。生憎だがあいつらに手を出させるつもりはねえ。俺はこの辺を締めてる後藤っていうもんだ。後藤をもじってゴッドって呼ばれてる。中々良い通り名だろ?」
「へっ! しょうもない通り名だな」
「いい減らず口だ。ますます気に入ったぜ。お前他所もんだな? この辺のガキはゴッドの名前出せば大抵ビビってすぐ逃げていくもんだからな。そのおかげで最近は全くケンカできてねえんでな。久しぶりに暴れさせてもらうぜ。お前、名前は?」
「利根川 伸也だ」
名前教えちゃうの!?
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