予告・第三楽章「背徳者たちの奏でる喜遊曲」

蒼穹の空の下、響く問い。

それは天使の誘惑か、はたまた悪魔の善導か。


「あなたたちの選択肢は二つ。私と一緒に行くか、断って茨の道を行くか――さぁ、どうする?」




弾かれるはずのない旋律に導かれ、彼女と彼は再び巡り合う。


「ルーシー?」


「……オズ?」


それは新たなる悲劇の兆し。

あるいは、あらかじめ喪失を約束された出会い。




「まさかとは思ったけれど、大陸史上最年少の記録保持者タイトルホルダー様がこんなところにいるなんてね!」


 「――甘ったれるな。〈盤上の白と黒〉はお前の理想を叶えてやる場所じゃねえ」


「人が人に惹かれる理由とはなんですか?」


 「……俺から言わせれば、多世界観測予測エヴェレットに過ぎないんだけどな」


「――復讐相手」





小さな子供が泣き叫ぶ。苦しいと、辛いと、憤りながら。



「あんたみたいな奴には一生かかってもわかんねぇよ!」



甘く優しい理想だけを受け入れるのではなく、

辛く悲しい現実から目を逸らすのではなく、

世界の欺瞞と矛盾から目を背けず、それでも少女はひたすらに前を向いて進む。

まるで己の罪と向き合うように、ただ真っ直ぐに。




「はじめまして。私はね、シルヴェステル・アファナシエフっていうの」


「オレの名はハインツ。〈盤上の白と黒〉のの王だ」


 主役を置き去りにして、舞台に役者は集う。




……世界よ、啼いて震えろ。





「――蒼き悠久の時に回帰せよ!」




かくして、テセウスの船が示した意図は一体何だったのか。






どこまでも自由に吹く風のような少女にさらわれながら、警鐘のように脳裏に鳴り響いていたのは、少年の静謐な問いかけだった。


 ――姉への復讐をやめて、ティアを殺すか?



「ほら、行きましょうっ」



……もしもそれが叶わないのなら、私はきっと――









いつか、この手であなたを

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