45.自意識過剰


 友達と久しぶりの飲み会。

 しかし私の気分は、浮かなかった。


「どうしたのー? 顔が暗いよー」


 飲み会でもあまり盛り上がれず、友達に心配されてしまう。

 私は言うか言わないか迷ったけど、結局全く減っていないレモンサワーを置いて、浮かない理由を話すことにする。


「最近ね、肩がものすごく重くて」


 今のずっと重さを感じている肩を、自分で揉みながらため息を吐く。

 どんなに湿布をはったり、整体に行ったり、病院に行っても、全く治らない。

 原因も分からないから、どうしようも出来ずに困っていた。


 肩が痛いと、仕事にも支障があって今日も上司に怒られてしまった。


「寝ている時も重いから、寝不足気味でもあるの。もうどうしたら、いいんだろう」


 私は最後は呟くように言うと、レモンサワーを飲んだ。

 氷が溶けたせいで、少し薄い味になっているけど、そんな事も気にならないぐらい疲れた。


「もしかして、何かに取り憑かれているのかな……」


 幽霊を信じているわけじゃないのに、そう思ってしまうぐらいには追い詰められている。その証拠だって、集められそうだ。

 友達は、私の事をまじまじと見ていたかと思ったら、急に笑いだした。

 何で笑い出すのか分からず、私は戸惑う。


「え、ちょっと、なに?」


 しばらく、友達の笑いは止まらなかった。

 そして、笑いすぎて出てきた涙をぬぐって、明るく話し始めた。


「だって、幽霊なんて。そんな事あるわけないじゃない。考えすぎだって」


「そうかな……」


 そう言われると、そんな気もしてくる。

 たまたま肩の不調が長引いているだけで、私の気にしすぎだったのか。


 そう思ったら、現金な事に肩の重みが少し和らぐ。

 私は肩を回して、友達に向けて笑った。


「確かに考えすぎだったのかも。ごめんね、変な事言って」


「そうそう。気にする方が、参っちゃうよ」


 そして残りのレモンサワーを飲み干すと、店員さんにお代わりを注文した。


 今日は全部忘れて、飲もう。

 私はそう決める。





 友達との久しぶりの飲み会は、本当に楽しかった。

 帰り際、肩を異様に気にしていたから、私は背中を叩いて笑いかけた。


「大丈夫? まさか、あなたも肩が痛いなんて、言わないでよ」


「う、うん」


 何だか納得がいっていないみたいだけど、私は知らない。


 だって、先に気のせいだと笑ったのは、あなたなんだから。

 それも気のせいでしょ。

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