第53話

兄、キリ君、フウヅキさんと家を掃除しているとキリ君のお兄さんがやってきました。


「カスミにぃ仕事は?」

キリ君は不機嫌そうにそう言った。

お兄さんはにこりと笑うと

「久々に休み貰ったの」

と言った。

兄はお茶を入れながら

「キリ君もケイトもちゃんと座ったら」

と言った。何だかんだあって私はキリ君のお兄さんの隣に座ることになった。キリ君も女性的な綺麗な顔立ちをしているけれどお兄さんもとても綺麗だった。

「あの、お仕事って何をなさっているんですか?」

私がそう尋ねて見るとお兄さんは細く笑って

「救急車に載ってるよ」

と言った。

「つまり救命士なんだよ」

キリ君は不機嫌そうにお茶を啜りながらそう言った。

「人の役にたちたくてね」

お兄さんもそう言いながら砂糖をたっぷり入れてからお茶を飲んだ。そして、にっこりと微笑むと

「とても美味しいです」

と言った。ストレート派の兄は苦笑しながら「それはよかった」と言った。

「そう言えばちゃんと名前をまだお伺いしていませんでしたねぇ」

お兄さんは兄と私に向かってそう言ってきた。兄はカップを机に置いてから

「ヒツジノコウキです。それから妹のケイトです」

と言った。それを聞くとお兄さんは

「年齢とご職業、血液型は?」

と聞いてきた。兄が戸惑いながらも

「年齢は21で大学生やってます。血液型は…」

と言っていると横からキリ君が

「にぃ…職業病出てる」

と言った。お兄さんは慌てながら

「すみません…つい…」

と言った。兄はそれを見ながら

「こちらも下のお名前聞いてもいいですか?」

と言った。お兄さんは頷き

「カスミと言います。漢字は普通に霞ヶ浦の霞です」

と言った。それを聞いて私は

「キリ君と似た感じですね。キリ君も霧の霧ですもんね」

と言った。お兄さんはそれを聞くと笑いながら

「うちの兄弟は全員雨冠が付いてますからねぇ」

と言った。それを聞くと兄は

「カスミさんは何番目何ですか?」

と尋ねた。

「上から二番目です。ちなみに今年で27になります」

と答えた。

私はキリ君に

「そう言えばこないだ家に来たのは?」

と尋ねた。

キリ君は顔を歪ませながら

「五男のシンだ」

と言った。それを聞いたお兄さんは溜息を吐きながら

「シンとキリは昔から歳が近いせいか中が悪くて…」

と言った。

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