第42話
よく祖父は僕に魔法の使い方を教えてくれながら“魔法では本当に人は幸せにはならない”と言った。確かにその通りだと僕は思う。一番始めにこの魔法を生み出した人は一体どんな気持ちだったのだろう…
「ケイトは成長してるよ」
フウヅキは真剣な顔でそう言った。でも、僕の中ではケイトはそうは思えない…まだ小さくて、弱くて、僕が守らなくちゃ…今度こそ守らなくちゃって…そんなの成長してないのは僕の方だって自白してるみたいだ…確かにケイトは成長した。逆に成長を邪魔してるのは僕なんだ…ケイトが居なくちゃ僕が壊れてしまうから…
「コラ!また、そんな顔してる!!いつものコウキはどこに行った!」
いきなり両頬を摘まれながらそう怒られた。
僕は目を丸くしながら彼を見上げた。彼は眉間に皺を寄せながら口を尖らせていた。
「魔術師ってその程度なのかよ!笑え!!」
彼はそう一喝すると後ろを向いた。
「フウヅキ…」
僕は名前を呼んだ…
「黒でも白でも魔術師でもコウキならそれでいいじゃん!」
彼はそう叫んだ。
「・・・フウ…僕、今そんな事全く悩んでない」
僕はそう言うと何だか体の力が抜けて勝手に笑いがコボレた。彼は僕に駆け寄ると目を丸くしながら僕の服にすがりついてきて「違うの?違うの?」と小動物の様に首を傾げてきた。僕は彼の頭を撫でると立ち上がった。
「理由が何だろうと誰だろうとケイトを泣かす奴は許さない!それだけだ!!」
僕は決意を新たにそう叫んだ。理由とか理屈とかもうかっまてられない!僕は今も昔もケイトを守る!その為の魔術師なんだ!そう心の中で叫んだ時だった。
『助けて…お兄ちゃん』
ケイトの声が聞こえた。
「ケイト!?」
僕はとっさにそう呼んだ。それ以上声はしなかった…それでも助けて欲しいと言う気持ちは途切れなかった。
「フウ!ケイトの所に行ってくる!!」
僕がそう言って魔法を発動させようとした瞬間彼は僕の腕にしがみついた。
「ボクも連れていけ!!」
彼は真剣な顔でそう言った。少し悩んだが頷いて魔法を発動させた。
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