第27話
まだ肌寒い日が多いですが、桜が咲きました。
「ほら、ケイト!チーズ餅焼きだって!食べようよ!!」
兄は屋台の前でそう言いながら私を呼んだ。
今日、兄と私は桜祭り着ている。ちなみにキリ君もいる。
「お兄ちゃん、晩ご飯ここで済ますの?」
私がそう言うと兄は「たまにはいいじゃん」と言って笑った。
「桜祭りって言っても桜まだ咲ききってないし屋台の方が目立ってるんだけど」
相変わらず蝙蝠姿のキリ君は私の頭の上でそう呟いた。
「毎年来てるけど確かにそうだね。桜よりも屋台の方が楽しみ」
私がそう言うと
「僕も屋台とかお祭りとか凄く好きだな。それだけで笑顔が溢れるから」
兄はそう言って笑った。
手には良い香りのチーズ餅焼きなるものがあった。
「これ去年は無かったよね~」
私がそう言うと兄は先にパクリとそれを食べた。
「うん。美味しい!」
兄はそう言って笑うと半分千切って私にくれた。
「ほんとだ。ピザソースが入っててもっちりしてて美味しい」
私がそう言いながら食べていると頭の上でピスピスと蝙蝠なキリ君の鼻が鳴る音がした。
「はい。キリ君も一口どうぞ」
兄はそう言うとキリ君の前に自分の分を差し出した。少しするともっちもっちと言う音がして一言「熱い…」と言う声がした。
どうやらキリ君も美味しく食べたらしい。
その後も私達はたこ焼きやお好み焼き、焼きトウモロコシ、カステラ、綿菓子なんかを食べ歩きながら、金魚すくいをしたり千本引きをしたりと屋台を満喫しながら歩いた。
日が沈むと屋台灯りで桜がライトアップされて独特な雰囲気を醸し出していた。
「満開だったらもっと綺麗だったのにね」
私がそう言うと
「これもこれで綺麗だと思うよ。それに咲いたら咲いたでまた来ればいいよ」
と兄は私の手をギュッと握った。
「そうだね。また連れてきて」
私はそう言ってその手を握り返した。
「その時は俺は人の姿がいいな…」
頭の上で呟くようにキリ君がそう言った。
兄は笑いながら
「願いが叶うといいね」
と言ってキリ君を私の頭から取り外して自分の手のひらに載せた。
「あっ林檎飴の屋台だ!ケイト、買っておいでよ」
兄は笑いながらそう言って私に小銭をくれた。
私が走っていくと兄はその後ろを何かキリ君と話ながら着いてきた。
ちなみに最近は苺や葡萄の飴もあるのにメロン飴が無いのは何故だろう?
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