第22話 再戦希望者
そんな訳で放課後。
ついつい私の足は学生会室に向いてしまった訳だ。
文化部系も補助魔法科系も見ようと思ったところは昨日見てしまった。
かと言って自室に真っ直ぐ帰るのも今ひとつの気分。
亜理寿や美紀に感じた羨ましさ。
それが少々引っかかっているのかもしれない。
やはりドアの前で少しだけ緊張する。
深呼吸1回して、それからドアをノック。
「どうぞ」
入って一目見たところでは副会長の山下先輩が不在。
その代わり先日私が座っていたところに女子生徒が1人座っている。
学生会幹部の入会志望者か見学者か。
「今日はこちらの席でどうぞ」
と沙知先輩に女子生徒の隣の席を案内される。
そして席に座ったところで。
「ところで律花、魔法を攻撃魔法レベルで使った事ってあるか?」
いきなり会長、松原先輩にそう尋ねられる。
「いえ、無いですけれど」
そんな練習できる場所は無かった。
そしてその返事に松原先輩はにやりと笑う。
「ならちょうどいいや。一緒に行こうぜ。それとこちらは
再戦希望?
ちょっと考えたら想像ついた。
恐らく昨日の模擬試合に彼女も参加したのだろう。
そして試合結果に納得がいかなかったと。
「はじめまして。橘律花です。よろしく」
「篠原咲良、攻撃魔法科1年」
ぶっきらぼうにそう返事が返ってくる。
まあ再戦希望者だしな。
そんなものだろう。
「いざという時のために沙知、同行頼む。他の皆さんは学生会宜しく」
「アラホラサッサ」
ロビー先輩が変な返事。
「じゃあ来て貰ってすぐだけれど悪いな、移動開始だ」
私がそれを聞いて立った瞬間。
ふっと景色が揺れた。
次の瞬間、太陽のまぶしさに私は顔をしかめる。
目が慣れるのに一瞬が二回分ていどの時間。
魔技高専の校舎が随分と遠くに見える。
そして反対側が海だ。
「滅多に使わない第4グラウンド。まあ使わない分荒れているのは勘弁してくれ。一応草は刈ってあるけれどさ」
その言葉通り、草だけは刈ってあるという感じの荒れ地だ。
「今のは移動魔法ですか」
松原先輩は頷く。
「島内だけなら私も杖無しで使えるんだ。咲良には昨日見せたよな」
篠原さんは小さく頷く。
「それじゃあ再戦といこうか。沙知と律花はちょっと離れていてくれ。沙知は攻撃魔法が他に及ばないよう適宜頼む」
「それでは私達も移動しますよ」
綱島先輩がそう言うとともに。
また景色がふっとぼやけ。
気がつけば松原先輩と篠原さんが100メートル以上離れた場所にいた。
というか、きっと私と綱島先輩が移動したのだろう。
「綱島先輩も移動魔法を?」
先輩は頷く。
「沙知と呼んでくれていいですよ。皆、名前の方で呼びますから。
さて、始まるようですよ」
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