第21話 最強の仮想敵
そんな訳で翌日は絵里、美紀、亜理寿と普通に会話して御飯を食べた位。
なお亜理寿には金井先輩の件については特に何も話していない。
単に学生会に行ってパソコンを買ってきた程度は言ったけれど。
そして放課後。
美紀と亜理寿は今日も攻撃魔法系の研究会へ行くとの事。
なんでも今日は模擬試合の実践があるらしい。
見てもいいのだが私には攻撃魔法というのはしっくりこない。
そんな訳で放課後は絵里と文化系の研究会をはしごした。
私としては結果的には今ひとつ。
絵里は文芸部や漫研にちょっと惹かれているようだったけれど。
そんな訳で金曜日。
学校に到着すると美紀と亜理寿が頭を抱え込んでいた。
それを絵里が慰めている様子。
「どうしたの?」
数日前の私から見れば驚異的な積極性で首をつっこんでみる。
「昨日、攻撃魔法模擬試合を見てきたのですけれど、予想以上だったのですよ」
美紀がそう話してくれた。
「どんな感じだったの」
「もう中学レベルと全然違う。火の玉飛ばしたりとかブリザード吹かせたりとか、もうそんなレベルですらない」
それでも充分に強力な魔法だと思うけれども。
「例えばさ、風魔法で自由自在に空を飛ぶとかさ、
でもそんな超人レベルが40人以上いて、更にハンデつけて、それでもたった1人の女の子に勝てなかったんだぜ」
どういう状態だろう。
と言うか、何があったのだろう。
「先輩が模擬試合をしてくれたのです。参加者は新入生で攻撃魔法に自信があれば誰でもOK。飛び入り自由。使用魔法も新入生同士が怪我をしなければ自由の条件で。
相手は4年生1人。魔法は移動と防御のみ。攻撃は接近してデコピンだけ。
その先輩を倒すか、全員がデコピンされるかの勝負です」
つまりその4年生の先輩に全員がデコピンを食らったという事なのだろう。
「渾身の
次は風魔法を併用して防御無しで空中地上と自在に逃げて。
最後のちょこっと本気モードなんて空間移動魔法使って、もう何処に出現するかもわからない状態なんだぜ。
あれは正直まともに勝てる気がしない」
「しかも新入生に他の新入生の魔法が当たりそうな場合は、全部魔法で中和して防ぎながらです。亜理寿はそれでも第3ステージまで行ったのですけれどね。私は第2ステージでデコピンあてられてリタイアでした」
「あれは運だよ。私も狙われたら無理だって。第2ステージの時点でも集中していないと場所を見失うし」
どうもとんでもない先輩と戦った模様だ。
「最後に相手の紹介があってさ。これが各研究会共通・当面最大の仮想敵、学生会長ですって。色々ともう洒落になってなくて笑えた」
え、会長ってあの松原先輩が。
フランクに色々話しかけてくれた学生会役員の中でも小柄な女の子だ。
どう見てもそう強そうには見えなかったけれど。
「本当ですわ。言われてよく見たら、確かに歓迎式典の挨拶をしていた人でした」
事実のようだ。
そう言えば他の研究会に顔を出すとか言っていたような気もする。
「今日は第2の仮想敵、副会長が相手だと言っていましね。副会長は氷魔法と罠魔法しか使わないらしいですけれど」
「まあ当然、挑戦するけれどさ。こうなったらとことんやらないと」
「私も付き合いますけれどね。ちょっと力の差がショックでしたけれど」
悔しそうだけれど何か楽しそうでもある。
ちょっとだけ羨ましい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます