第66話Regrets - 未練
66.
"Tears of Eiji 瑛士の涙"
== 樋口瑛士 + 眞奈 ==
私は元夫に連絡を入れ、ひとりで会いに行った。
話し合いにそんな時間は掛からなかった。最初から話すことはそう多くはないと
分かっていたので以前ふたりで行ったことのある前に暮らしていた家からも比較的
近場の大きな公園で会った。
広い駐車場があるのときれいなトイレがあって、喉が渇けば自販機もある。
疲れたらテーブル付きの椅子だって広場にある。
お腹がすいたらちょっと軽食を食べられる喫茶までそこにはあった。
お茶するような時間もいらないと私は考え、広場のテーブルを挟んで
話すことにした。
「来てくれてありがとう」
「ごめん、両親はやり直してみたらっていう意見だつたんだけど・・
それで私も私なりによくよく考えて、やっぱり再婚は無理・・かな。
あはっ、答えが出てるのに長居もなんだから私帰ります」
さっき座ったばかりだったけど、気まずいのは嫌い。だから、私は
躊躇せず、さっさと帰ることに決めた。私が帰ろうとすると元夫は切なく
ギリギリの声音で私の背に向けて叫んだ。
「俺を捨てないでくれ!俺の側にいてほしい!
大きな保険に入る。俺が死んだら巨額の保険金が君に入るようにする。
この先、小遣いもいらない、一生懸命働いて金を溜める。貯金の名義は
君と子供にしてくれていい。一切遊びには行かない。この先の俺の時間は
君と子供に捧げるよ。だから・・だから、考え直してほしい」
「さよなら」
それだけ言って私は一度も振り向かずその場を後にした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます