第61話Regrets - 未練
61.
"Regret the my past. 過去を悔いる5"
== 眞奈の父親(松本浩志) + 藤原紀子(浩志の部下) ==
後年インターネットなどで知ったのだが、今思うと藤原は相談女っていう
カテゴリに属していたのかもしれない。
もちろん意図的ではなかったと思う。
男女で密室にいるのだという私の危機感のなさが招いたことだと思うので。
だが、よくよく考えれば分かるだろう。
夫の浮気や不倫で苦しめられているのに、自分も既婚者とどうこうなって
いくというのは、矛盾している行為なのだから。
その後も一度知った密の味・・・で、しばらく私たちは別れ際に口づけると
いう行為を繰り返してしまい、ここで止めればよかったのだろうけど
当時の私は若かった。
結局相談され、縋られ、一度だけ部屋を取ってしまったのだった。
そういう中でも不思議と私は理性を保っていたと思う。
目に入れても痛くないほど溺愛していた可愛い眞奈の顔と最愛の妻の顔が
過り、もう本当に送っていくことも含めてバッサリと今彼女を切らないと
後悔してもしきれないほどの高い代償を払う羽目になりそうなことに
遅まきながら気付き、彼女に行為が終わった後で告げた。
「君の力になってあげたいと思ったのは本当だけど、私には妻と娘がいて
君には揉めているとはいえ、まだ婚姻関係を継続している夫がいる。
こんなこと、誰も認めはしないからね。もうこれでただの上司と部下という
関係に戻らなければいけないよ」
「ごめんなさい、分かってるんです。松本課長が奥さんのものだっていうことは。
松本課長があんまりやさしいから、私甘えてしまってましたね。
分かりました、明日からは元の関係に戻ります。今までお力になってくださり
ありがとうございました」
そう納得して帰って行った日から10日程後のことだった。
彼女が我が家に突撃してきたのは。
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