第57話Regrets - 未練

57.



"Regret the my past. 過去を悔いる2"



== 眞奈の父親(松本浩志) + 眞奈の母親(松本綾子) + 藤原紀子 (浩志の部下) ==



 私は驚き急いでドアを開け、家の外に飛び出した。


 果たして・・あぁ思っていた通りの人物がそこに佇んでいた。

 私の姿を見るや否や、彼女は私に抱きついてきた。



 「私・・私ったら何てことをしてしまったんでしょう」(泣)



  「いや、君は悪くない。悪いのは俺だ」

 抱きついてきた彼女を懐に抱え、やさしく諭すような声をかけた。

 そして私は続けて彼女に言った。


 「もうこんな時間だし、また改めてちゃんと話会おう。ひとまず送るから」



 そう話して彼女の背に手を当てて促し、車のKeyを取りに家の中へ

入ろうとした私の目の前に、妻が悲し気な顔で立っていた。


 今でもこの時の心底悲し気だった妻の顔を忘れてはいない。


 妻はどの辺りから家の外に・・私たちの様子を見ていたのだろう

気になったもののとにかく藤原をどうにかしないと、という気持ちの

ほうが勝っていたため、妻をちゃんとフォローする時間も取れないまま

適当な言葉でその場を凌ぎ、私は藤原を家まで送り届けたのだった。



 送る車の中で彼女はひたすら、私に謝り続けていた。


 「ごめんなさい、ゴメンナサイ。私、気が付いたらあなたの家の前まで

来てしまって、来てしまったら歯止めが利かなくなって電話かけて

しまって」



 


 「何であんなこと、俺の妻に言ったの? 」




 「すみません、ほんとにすみません。自分でも分からないんです」

 彼女は明らかに動揺していた。


 彼女は夫の浮気に振り回され続けて、苦しんでいた。


 ひとりでその苦しみを抱えていて、私の浅慮による相談に乗るという

発言で彼女は私に依存してくるようになってしまった、という経緯が

騒動の根底にあった。


 それにしてもだ、互いに既婚者でおいそれと結婚できるような関係でも

ないし、こと私に至っては妻の綾子に対して何の不足もなかった訳で

彼女と深い関係になったのは、ほんとうに気の迷いと流れでたまたまと

いうしかなかった。


 そしてまた彼女との付き合いの中で将来一緒になろうとか、そんな話は

一切出してないし、出ても無かったのだ。彼女も暗黙のうちにそこのところは

了承しているものと思っていたので、その夜(よ)のことは正直自分にとって

晴天の霹靂でさえあった。




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