第56話Regrets - 未練

56.



"Regret the my past. 過去を悔いる1"



== 眞奈の父親(松本浩志) + 眞奈の母親(松本綾子) ==



 あの日のことは今も鮮明に覚えている。


 まさに痛恨の極みとも言うべき・・

それは、忘れたくても忘れられない過去の光景だった。


 深夜いきなり家の電話が鳴り響き止まない電話に妻が最初に

気付き起きた。誰からだろう? こんな深夜の電話は大抵よくない知らせと

相場は決まっていて、私と妻とどちらの家のことだろうなどと、意識が

覚醒しつつあった私はそんなことを考えていた。




 「あなた・・来てください!」

 妻から大声で呼ばれ、私が側に近づくと・・



 「ねぇ、どういうこと?」

 妻の顔からは血の気が引いていた。


 「彼女の言ってるご主人って・・もしかしてあなたのことなの?

誰なの? 彼女誰なの? あなたの知ってる人なのね?」


 この時点で相手が誰なのか、何を言ってきているのか私に分かる

はずもなく、取り敢えず妻の握りしめている受話器を取り電話に

出たのだった。


 繰り返ししゃべっているようで、私にも相手の話が聞けた。


 「ねぇ、答えてくれませんか。さっきからお願いしてること」

 私が妻と代わったことを知らない相手はしゃべり続けた。


 「私、奥さんが羨ましいです。お子さんにも恵まれ愛妻家のご主人も

いて・・全部持ってる奥さんが羨ましくて憎いです。奥さん、ひとつでいいから

私に譲ってください。ご主人を私に下さい」



 何ということ!


 電話の主は、私と深い関係になったことのある藤原紀子だった。


 彼女は既婚者で、いつもの彼女は控えめで真面目な道理をわきまえている

女性だったのに、どうしてこんなことに。


 すると今度は家のインターホンが鳴り響いた。


 家まで来てるのか?

 ただごとではないと、私に戦慄が走った。


 



 

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