第50話Regrets - 未練


50.



"瑛士突撃2"



== 樋口瑛士 + 眞奈の母親(松本綾子) + 眞奈 ==




 普段父が抱くと泣く将大が、瑛士さんには泣かないでじっと気持ち良さげに

抱かれていて、ちょっとびっくり。将大はてっきり男性が嫌いだと

思っていたから。


 こうなると男性だからというわけではなく、単に父が嫌がられていたって

ことなるよね? 父・・かわいそすぐるぅ~るぅるぅ~。



 大好きなコーヒーを飲みながら瑛士さんが言う。


 「眞奈、もう一度将大くんを連れて僕とやり直してくれないだろうか。

君のことも将大くんのことも大事にする・・絶対。だから・・」




 はぁ~? 寝言は寝てから言えっ。やばい私ったらまたきついことを・・。

 だけど私にしてみれば今更瑛士さんとの復縁なんて200%考えられない

ものだったから、しようがないよね。


 そして私が声に出して断りを入れる前に、なんと母が言った。




 「瑛士さん、ありがとう。大事なことだから主人とも相談して、眞奈とも

よくよく話し合いをした上でお返事させてもらいますね」と。



 母・・何言っちゃってくれんのよぉ~。

焦るぅ~、話し合いの余地なんて無いのにさ。



  「お義母さん、ありがとうございます。良かったぁ、即答で断られるの

覚悟で来たものですから・・ホント」


 彼はしみじみと母に礼を言った。

 けれど、私にはなんの感情も湧かなかった。



 帰りがけ、靴を履き私たちの方へ振りむいた瑛士さんは私を見て言った。


 「受け入れて貰えるまで俺、何度でも君にお願いしに来るよ。俺の本気を

分かってもらいたいからね」


 訪ねて来たのにもすごく驚いたけれど、帰り際のセリフにも驚かされた。

 一体全体どういうつもりなのだろう。口にするつもりはなかったのに

気がつくと声に出てしまっていた。



 「虫が良すぎるんじゃないの?」 ァッ...イケナイ



 「ほんとっ、眞奈の言う通りだ。虫が良すぎるよな、分かってるんだ自分でもね。だけど俺、眞奈のこと諦めたくないんだよ。一度諦めて実感したから、俺には君が

とても必要だってことをね。ただのストーカーにはなりたくないし、君たちに

迷惑はかけられないから、そうそう頻繁に来るつもりはないから安心して。

 忘れた頃にまたお願いに来るよ」




 「瑛士さん、キツイ言い方になるけど・・それ、無駄だから・・ヤメテ」




 「じゃあ、失礼します」


 瑛士は私の拒絶の言葉を華麗にスルー(しやがり)して、平然と帰って行った。





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