第44話Regrets - 未練
44.
"A New Depelopment 新たな展開5"
== 神崎眞奈 + 神崎 蓮 ==
「分かったわ。わかりました。
だからせめてあなたの最後を見届けさせてほしい。
限られた時間なんだから・・お願い」
その後蓮さんの容体が急変し、即日入院した。
蓮さんは私の身体に負担がかからないようにと、連絡先を
お寺の住職夫妻にしたのだった。
私はお寺の住職の奥さんに臨終の時が来たら絶対知らせてほしいと
頼んでいた。
恐れていた日はあっという間にやってきて、住職の奥さんから
連絡が入った。
「約束だから連絡入れたけど、蓮さんね、こんな萎びた顔や体は
見せたくないって言ってるわ。それでもあなた行くの?」
「はい、どんな姿形になっていても蓮さんは私の魂の片割れなんです。
お腹の子と一緒にお別れせねばなりません」
「蓮さんは元のかっこよい風情だけをあなたの記憶に留めてほしいのじゃ
ないかしら」
「病気の淵にいる蓮さんも、元気な頃の蓮さんも・・私はどんな蓮さんも
この胸に・・この脳裏に焼き付けておきたいんです。愛する人だから・・
これからも愛し続けていく人だから。私、蓮さんを寂しくひとりで逝かせ
たくない、逝かせやしない・・」
「負けたわぁ~、眞奈さんには。蓮さんとふたりにしてあげるわ」
私が病室に入っていくと弱弱しいひとりの男性がベッドに横たわっていた。
今日は見事な晴天晴れの日だから、窓の外の空でも眺めていたのか
顔をゆっくりとこちらに向けたその人は私の姿を目に止めると
にっこりと微笑んだ。
「来たんだ・・」
「もちろんよ、来るにきまってるでしょぅ~。お腹の子だってお父さんに
会いたいんだよ? その、私が一番会いたかったんだけどね。会いに来なくて
いいなんて、酷いわ・・全くう」
「元気かい?」
「ええ、私も子供も順調よ。心配いらない」
「なら、よかった」
「あなたとの子、大切に育てます。
絶対、愛したあなたのこと死ぬまで忘れないわ」
「何言ってるんだ、約束破るのか?」
「約束なんてしてない。元旦那との再婚は考えてみるって約束したけど
あなたのことを忘れるなんてひとことも言ってないもの」
眞奈は蓮に口づけた。
そして耳元に囁いた。
「この先も愛し続けるのは、あなた・・だけ」と。
私の囁きは聞こえたろうか?
蓮は私の側でそっと眠るように息を引き取った。
蓮さんの閉じた瞼の隙間から一滴の涙がぽろっと零れ落ちた。
さよなら、蓮さん。(涙)(涙)(涙)
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