第27話Regrets - 未練

27.


"Shocking Incident-衝撃的な事件4"


== 住職の妻 + 松本眞奈 + 神崎 蓮 ==



 「ンもう、いいや! そうよね、おかしいわよね。誰が考えたって

私の立場で蓮さんの辛い過去の話をあなたにするなんて、絶対おかしいわよね。

あなたと蓮さんを引き離す為などでは絶対無いから。


イヤ チガウ ヤッパリ ヒキハナス コトニナルノカモ....」



 住職の奥さんは自分の中にある何か葛藤と戦っているふうにも見えた。




 閃いた・・突然私は閃いてしまった。

 悲しくなった。




「もしかして、蓮さんから頼まれたのでは?」





「えーっ、あーっ、うーっぅぅぅぅっいやっ、、、」



 図星のようだ。




「私、今日はこれで失礼します」


 私は苦し気に呟いている奥さんを残して、蓮さんの帰りを待たずに

お寺を後にした。



 蓮さん、ね・・どういうこと?

 今日のことはどういう意味?



 私との未来は無いってこと? 


 あまりに非現実的な話を聞かされた私は錯乱していて、正常な判断が出来ぬまま

家に泣き帰ったのだった。




・・・



 「ただいま、帰りました」




「あぁ、蓮さんお帰りなさい」




「その様子だと、彼女驚いて帰ってしまったのでしょうね?」



「私ぃ、話と言うか説明が下手だから。蓮さん頼む相手を間違えたと

思うわよ?」




「いや、小夜さんが適任ですよ。ほんとは彼女と深い仲になる前に

話しておかないといけなかった話なんです。私が臆病なばかりに延び延びに

なってしまって、あげくに小夜さんにお願いしないと彼女に自分の過去も

話せないヘタレ野郎です。お世話掛けてすみませんでした。これで少し

すっきりしました」




「ねぇ、あなたはすっきりしたかもしれないけれど、何だか眞奈さんが

可哀そうよ。前科ったって、ことがことなんだから、そんなに気に病まなくても

って私は思うのよ?」




「いえ、世間はそんなに甘いもンじゃないですから。私はたまたま住職と

遠い親類だったことで情けをいただきこちらに落ち着かせていただき

普通の日常を送らせていただいておりますが、普通に何の伝手も無く社会に

出れば、ただの前科持ちですからね」




 そっか、そうだな。

 眞奈は俺に会わずに帰ってしまった。


 これで良かったんだ、ひとときの甘いあまい夢だと諦めろ、蓮よ。





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