第12話Regrets - 未練

12.


"出会い5"


(2ケ月後の回想記)


== 樋口眞奈 + 神崎 蓮==



  蓮さんのお寺では平日のみ13:00頃から18:00頃まで敷地を

子供たちに開放していて、午前中で半休を取ってお寺に出かけた日

たまたま低学年の女の子たちが8人も遊びに来ていて私はその子供たちと

何とこの年になって、はないちもんめをしたのだ。


 その輪には蓮さんも入った。どちらのチームからも常に蓮さんは

一番に欲しがられて人気者だった。私はそんな様子が可笑しくておかしくて

ずっと子供たちと蓮さんの様子に笑いを堪えつつ、はないちもんめを

楽しんだ。


 変な気がした。夫を他の女に盗られたと泣いたり怒ったりしていた

私が心穏やかにひとりの僧侶とどこぞの愛娘ら8人を愛しい眼差しで

見つめている現実にだ。


  人は人から苦しみや悲しみを受けても、また別の人から癒されたり

されて、心を落ち着かせることができるということを実体験したわけで

なんだかどんどん、幽体離脱じゃないけど自分の立ち位置というか、存在を

客観視できるようになっていった。


  日暮れて子供たちが帰って行くと奥から住職の奥さんが手作りの

おはぎをごちそうしてくださった。奥さんとの面識はこの日が初めて

だったので、ごちそうになり少しびっくりしてしまった。



 「突然現れてごめんなさい。蓮さんからあなたがしょっちゅう本堂のお掃除を

手伝ってくださってると聞いていたものですから、作ったおはぎをぜひとも

食べていただきたくなりましてね。ささっ、どうぞ召し上がれ!」





 「ありがとうございます。私のほうこそ勝手に本堂や家に上げていただいて

お世話になっております。少し嫌なことがあって土管に入って喚いていたところ

蓮さんと出会いまして、それからお世話になっています」




 「へぇ~、土管でねぇ~」




「はい、土管で・・」(アセアセ::)



 

 「あの土管は昔からあそこに鎮座してて、子供たちにもすごく人気があって・・

おまけにあなたにも利用していただけて、どけようかなんていう意見も

ありましたけど、置いとくように主人に話しとかなくちゃ・・だわ。ふふっ」




 蓮さんだけじゃなくて、子供たちとも知り合いおまけに住職の

奥さんとまでお知り合いになれて、ホクホクした気持ちで私はその日

帰路に着いたのだった。





-915-

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