新side 3

電話は、数コールの後に繋がり

「はい、何でしょう? 月島ですけど」

とやや不機嫌そうな声をこちらへ届けてきた。

「存じております、月島サン。少々お尋ねしたいことがありまして」

こちらも、少し語気を強めて向こうへ声を届ける。

出来ればこれ以上は機嫌を損ねたくないのだが、一方的なのも納得がいかない。

これくらいは、私のプライドの保守として許されるだろう。

「尋ねたいこと? 貴方から、だなんて検討もつきませんね」

紗月は、私が語気を強めたことは無視してそう声を発した。

「麻希サン見ていませんか? 今日、連絡も無しに休まれていまして」

こちらは本題を問う。紗月は、一瞬だけ間を置き

「麻希さん? いえ、見ていませんね。

それにしても、麻希さんが連絡も無しに休むなんて心配ですね。有希さんには私から聞いておきます。

それで、他にご用件は?」

と返答した。早く電話を切ってしまいたい、という念が電話越しに感じ取れる。

「いえ、別に……。有希サンによろしくお伝えください。では」

「こちらこそ。修さんにお伝えください。では」

その一言で電話は切られた。


有希__苗字は深川、というのは紗月と麻希の共通の友人である。

私は噂程度の話しか聞かないが、紗月の友人というだけあってそれなりに富豪の様だ。

別に金だけが全て、とは言わないが人生勝ち組であろう。

少なくとも私みたいに、強欲に金を求めなくても良いのが羨ましい。

いや、私とて金に困っている訳ではないのだが。むしろ他の同年代に比べれば高収入であろう。


話が脱線したが、月島紗月も協力はしてくれる様だ。

思っているより、麻希と紗月は親密だったのかもしれない……。

そんなことを思いながら、鞄に入れっぱなしであったペットボトルの水を一口飲んだ。

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