第13話 メモ

 古いタンスの引き出しをひっくり返していた。

 アンティークで使える物はないか、ごそごそ、ごそごそ。

 マフラー、着物(かいまき)、おもちゃの部品、ホコリっぽい中をかきわけかきわけ、あれこれひっぱり出していく。


 雑貨の奥に紙束を見つけた。過去にもらった年賀状だ。

 手に取ったら、一枚ひらりと落ちる。

 拾って驚いた。連絡を取りたいと思っていた知らない人の名前だった。

 これで連絡を入れられると思ったけど、ひとつ気づいた。

 相手はきっともう大人になっている。

 連絡を入れたところで、あいつは私を私だとわかるだろうか。

「賭けるか」

 その年賀状だけ、無くさないようにポケットに入れた。

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