陽炎の森88 それを見ていた後の4人がお助けくだせえ、松島屋の網元の指図でございやす、指図にしたがわねばクビにするといわれて仕方なく諭吉を襲ったのですと言ったので、し


陽炎の森88


それを見ていた後の4人がお助けくだせえ、松島屋の網元の指図でございやす、指図にしたがわねばクビにするといわれて仕方なく諭吉を襲ったのですと言ったので、しかとそうに違いないな、

というと、違いありませんと平伏したのです、船頭の後ろにまわりカッを入れるとキョトンとしています、もう3寸で真っ二つだったな、これに懲りて悪さはするなよというと、恐れ入り、

ましたと頭を下げたのです、


山田殿これで松島屋の指図とわかりました、直ちに捕縛されよというと、分かり申したと役人を連れ立って松島屋へ向かい、捕縛して番屋へ引き立ててきたのです、ここにいる5人が全て、

喋ったぞ、そなたの網元の鑑札は取りやめとして、家財没収のうえ伊達領追放とするがどうだというと、又もや諭吉が真一朗様わたしが怪我したわけではありませんどうか許してやって、

ください、おうせの通りのお裁きですと、


松島屋の家族、働いていた船頭を始め多くの漁師は糧を失い路頭にまよいます、なにとぞ寛大なご処置をおねげえしますと言ったので、いままで散々この松島屋にひどい目にあってきた、

のだろう、なぜ許せるのだと聞くと、同じ漁師でございます、島田屋の先代がなくなる前はいい人だったんです、お父さんが世話になった事もありますというと、松島屋があんなにひどい、

目に会わせた私を許してくれるのかというと、へいと諭吉言ったのです、


しかたない、諭吉の口ぞえもあり、家財没収の上領内追放は取りやめとし、網元の鑑札もそのままとするが、今後競争は各網元3隻とし漕ぎ手は4人とする、その他は今まで通りだどうだ、

というと、いえ今後競争は止め、皆で魚がとれるようにしますと松島屋がいうので、それはまかりならん、人間は競争心を失えば最初はいいが、そのうちだらけて働らかなくなるものだ、

競争する事によって励みがでるのだというと、


おそれいりますというので、縄目をといてくだされと言うと、役人が縄目を取り、それではこれで皆を解きはなすと放免したのです、山田にご苦労で御座った、いまの取り決めを守るよう、

しっかり監視なされよというと、見事なお裁きで御座った、真一朗殿のなされよう、お手本といたすというので、それでは後で島田屋に顔を出されよと番屋を出たのです、


島田屋に行くと、お春がお裁き聞きました、ありがとう御座いますというので、それでは仏間に案内しなされといい、島田屋殿これで貴方の思い通りになりましたと皆で手を合わせたのです、

仏間を出ると、諭吉に競争にイルカは使うてはならぬぞ、イルカがエサをもらえなくてガッカリするから、遊びに使っていわしのエサをあげよ、褒美をやって芸を覚えさせ、船に客をのせ、

芸を見せて木戸賃をとれば、不漁の時の足しになろうというと、


お春とお夏が諭吉さん是非やって、私達も乗せてというので、客を乗せる時には浮き板をつけさせ船から落ちても溺れないようにするのだぞ、桐は軽くて浮く力が強いのでそれを使えば、

よいぞと教えたのです、諭吉が北に行くあいだやってみます、漁より面白いですねというので、これ、これ本業を忘れてはいかんというと、すみませんと頭を下げたのです、


お春が今日は諭吉さんが魚を一杯取ってきたので是非ここに一晩、逗留して下さいというので、そうしますかと清之進に聞くと、そうですね、掃除も終わった事ですし、厄介になりましょう、

真一朗殿はまたここで何か美味しい物を作ろうとしているのですねと清之進が笑ったので、バレましたか、段々心のうちを読まれるようになってきましたと真一朗も笑ったのです、


お夏がお湯が沸いています、ここの風呂は大きいので皆さんは入れますよというので、女湯はと聞くと、男湯に比べれば小さいですが4、5人は一緒にはいれますよと答えると、真一朗様は、

女湯がいいのですかと赤い顔をするので、みんなは男の格好をしていますが、この3人の若武者は女なんです、手前と隣の伊織殿が男ですよと笑ったのです、


お夏がでも清之進様と真一朗様が呼んでいたではないですかというので、それは諸国巡察方としての通りなですよと笑うと、道理で3人の方はまるでお役者さんみたいに凛々しいので、男に、

しては綺麗すぎると思っていたのですとお春が驚いていたのです、皆でそれぞれ風呂に行ったのです、風呂に行くと、親父殿から古河にいる時文を出した返事が、昨日飛脚屋に文が届いて、

いました、古河に届いたのをこちらに送ってくれたのです、


ほうそれで武蔵殿は息災ですかと聞くと、真一朗殿が親父殿の戦いを分析した事を書きそえましたら、人それぞれで自分の剣の極意は人には教えるわけにはいかんというていた親父殿が、

後世に伝える為、剣の極意書を書き始めたみたいなのです、真一朗殿があまりにも正確な分析をしているのに刺激されたのでしょう、なんと言う書物だというておられましたかと聞くと、

五輪の書だそうですと答えたのです、


確かに宮本武蔵は死ぬ間際に五輪の書という、戦いの兵法書を残しているのです、これも歴史どおりだと思ったのです、真一朗がおどろかないので、伊織が親父殿が何か残すと思っていた、

のですかと聞くので、いやあの武蔵殿ですら、何かを残したいと思われたのかと感激しているので御座ると言うと、ほかにそのような方がおられたのですかと聞くので、室町幕府の時代、

一休さんというお坊主さんがいたのです、


この人は天皇の子供なのですが、跡取りの争いを避ける為、小さな時からお寺にあずけられ、僧侶としての道を歩んだのです、頭のいい人で、皆の為、知恵を使い多くの人を助けたのです、

皆から敬われたお坊さんでした、欲がまったく無い人だったそうですが、いつ死んでもおかしくない歳になった時、自分の世話をしてくれる娘を好きになったのでしょうか、最後の時、

その娘が一休様思い残す事がありますかと聞くと、一言、ああ死にたくないと言って冥土に旅たったそうです、


人々はあのまったく欲のない、一休様ですら、最後に生きたいという欲を出されたのだと知り、どんな人間でも欲はあるものだと安心したのだそうです、武蔵殿も最後に欲をだされた、

事を知り安心したのでござる、手前は美味いものを食いたいとか、いい女子を抱きたいとか、欲の塊ですからねと笑ったのです、風呂から上がり台所に行くと、諭吉が魚をさばいて、

いるので、ほうたいしたもんだというと、


お侍さんがこんな所へはいるもんではないですよというので、ひとつ諭吉に料理を教えてやるといい、包丁を借りて魚をさばき、一口に入る大きさに切り分けたのです、凄いですねと、

感心しているので、終わるとご飯を桶に移し、酢を入れてかきまぜ酢飯を作り、飯を左手に少しのせ、右の二本の指で固め、魚をのせもう一握りして、大皿に綺麗にもりつけ、人数分、

作っり山葵を摺りを小鉢に入れたのです、


諭吉やつてみなさいというと、みようみまねで握ると、手先が器用なのかすぐ握れるようになったのです、卵焼きをつくりこれも一口に入る大きさに切り、酢飯に乗せて小さな海苔で、

巻き、最後にマグロの赤身を海苔の上の酢飯を乗せたものに並べ、布巾でクルクルまわし丸い棒状にして小さく切りわけたのです、後は諭吉に何本か作らせ、皿に盛ったのです、

これは何ですかと聞くので、


にぎり寿司だよ、イルカを見に来た人の弁当として出すのだよ、芝居に付く幕の内弁当みたいにするのさと言うと、公儀のお役人様の料理なんて初めてみました、見事なもんですと感心、

していたのです、お春さん先ほど井戸で冷やしていた酒を持ってきてくださいといい、台所の座卓を座敷に運び入れ、にぎり寿司を並べたのです、役人の山田も来ており、


メイ、お春さん、お夏さん、皆に酌をしておくれと声をかけ、清之進様と声をかけると、仙台の掃除も終わりました、島田屋のみなさん、山田殿ご苦労さまですと乾杯したのです、

みなさん、真一朗殿のにぎり寿司です、小鉢に山葵が入っています、刺身の上に少しのせ、先に醤油をすこし付けて食するのですと、清之進が食べ方を説明したのです、


山田が一口食べ、これは鼻につ~んときますが、なかなか美味いもんですね、信一郎殿は料理も天才で御座ると感心しているのです、お春さん、お夏さん、諭吉に作り方を伝授しま、

したからこれからいつでも食べますよというと、まあ嬉しいです、あした、島田屋で働いている人にも食べてもらいます、ほんとうに美味しいです、諭吉さんお願いしますと頼んだ、

のです、


酒も冷えててうまいので、同心の山田はこの酒はうまい、うまいというので、どんな酒でも冷やせば美味く感じますよと真一朗がいい、皆でもりあがったのです、ところで、お春さん、

この諭吉を婿に向かえて、この島田屋を守り立ててくだされというと、ええ私も思っていたのです、諭吉さんお嫁に貰ってくれますかとお春がいうと、お嬢様もったいない事です、

あっしでよかったらお願えしますというので、これでめでたし、めでたしですねと再び乾杯したのです、









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