22話 夫の一歩

 今日はアニメのオーディションを受けて、ゲームの収録をした。

『1000年文化』の放送以来、今までボチボチしかもらえなかったオーディションも多くもらえるようになった。でも、未だに受かったことはないんだけど。それでも、今までの私からしたら、大きな進歩だ。


 ゲームの収録を終え、一度事務所に寄って『1000年文化』のナレーション原稿を受け取って、家へ帰る。



 家に着いたので、鍵を開けてドアノブを回して勢いよく開ける。

「ただいまー!」


 いつもなら「おかえりー」と言うゆうくんの返事があるのに、今日は珍しくない。


「ゆうくん〜?」

 どうしたんだろう?最近仕事と執筆で忙しそうにしていたから、疲れて寝ちゃってるのかな?

 そう思って私は、リビングへと入る。


「んーーーー???」

 そこには、難しそうな顔をしてパソコンとにらめっこしているゆうくんの姿があった。


「ゆうくん?」

「ん?おお、美佳、おかえり」

「うん、ただいま。それにしてもどうしたの?そんなに難しそうな顔して」

 玄関でおかえりのハグをしてくれなかったからちょっとだけ寂しかったのは内緒だ。


「それがさぁ、色んなことがありすぎて困ってるんだ」

 そう言ってゆうくんは、急に作品のpv数やフォロワーが一気に増えたことなど今日あったことを全て教えてくれた。


「確かにそれは嬉しいを通り越して、信じられないかも…」

 私も、アニメのレギュラーが何本も急に決まったら困惑して現実を受け止められなくなりそう。


「でもさ、連絡は受けてみてもいいと思うよ?」

「どうしてだ?」

「だって、一般の人たちだったら直接作品にコメントしてくれるでしょ?カクヨムの運営からメッセージが来てるってことはすごく重要なことかも」

「そんなもんかな?」

「そうだよ!もしその連絡で大変なことになっちゃっても、二人で乗り越えていけばいいよ!今までもそうしてきたんだし」


 今までゆうくんに助けられてきた分、今度は私がゆうくんを支えてあげる番だ。

 それに二人なら、不可能なことはないはず。


「もしかしたら、夢の実現に一歩近づけるかもしれないよ?」


「確かに…。じゃあ、連絡してみるか」

「うんっ!」


 こうしてゆうくんが一歩踏み出した。


 この先、どんな事が私たち夫婦に待っているかは分からない。

 でも、何が起きても受け入れて二人で乗り越えていくんだ。絶対に叶えたい、夢のために。

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