2章 愛流勇介の成長
20話 追い風
藤城さんから私にナレーターが交代した1000年文化の初回が放送されて以来、少しずつ声優としての仕事が増えてきた。
アニメの仕事はまだないけど、ナレーションだったりゲームの仕事だったりと、明らかに境遇が変わった。
そしてまた、私たち夫婦の間にも少しずつ変化が現れ始めていた。
「ゆうくん、執筆具合はどう?」
「うん、いい感じ。もう少しでアップできる分は完成するかな。最近はpv数も伸びてきて、書いてるのが楽しいんだ」
「そっか。じゃあ、コーヒー入れて来るね」
「あぁ、ありがとう」
私に心の余裕が出来て、今までゆうくんに支えてもらってばかりだった私が、ゆうくんの執筆を支えられるようになってきた。
そのおかげではないかもしれないけれど、ゆうくんの小説は段々人気が出てきて、pv数が伸び始めている。
ゆうくんも活き活きとしていて、毎日小説を書いているのが楽しそうだ。
最近は、新人賞に応募する作品の執筆にも入っていて毎日遅くまで起きていたりするが苦ではないらしい。
「そういえば、新人賞の締め切りはいつなの?」
コーヒーを入れたマグカップをゆうくんの手元に置き、隣に座りながら聞いた。
「ちょうど一か月後だな。もう半分くらいは書き終わってるから間に合うと思う」
「そっか、書きあがったら読ませてね」
「おう。あっ、そういえば昨日、
そう言ってゆうくんは、スマホの画面を見せてきた。
それは『いつでも君の傍にいる』という、美少女ソシャゲの画面だ。
3年ぐらい続く人気のゲームで、最近私が演じるキャラが加わった。そのキャラをどうやら引き当てたようだ。
「本当に美佳のキャラクターがゲームに登場してるんだな」
ゆうくんは嬉しそうだがどこか寂しそうな表情でつぶやいた。
「じゃあ、私はそろそろ寝るね。明日も仕事あるんだから無理はしないでね」
「俺も今書いてるのアップし終わったら寝るよ。じゃあ、おやすみ」
「うん、おやすみ」
この夜、カクヨムに最新話を投稿したことによって、ゆうくんの人生は大きく変わることになるとは、私たちはまだ知らなかった。
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