シンデレラの魔法は解けてしまったけれど
ちょっとばかりお仕事の方も落ち着いて、再び小説に
それでも、ほんのひと時でもエアポケットのような時間が持てたことは私にとってもありがたいことでした。
ただし、ひとつ悪いこともありました。
アレだけ毎日書き続けていた小説も、ついに途切れてしまったのです。深夜0時になる前にわずか15分ずつでも書き続けるというあの人の指令に従えなかったのでした。
「ああ~あ、ついにあの人との約束を破ってしまった。毎日、欠かさず小説を書き続けるという約束だったのに。最低でも半年か1年の間は。これで、私の小説家になる夢も破れたわけね。少なくとも一流の小説家になるという夢は」
それでも、“毎日続ける”という約束だけは守ろうと思いました。
「確かに夜の12時は過ぎてしまったけれど。シンデレラの魔法は解けてしまったかもしれないけれど。それでもまだ、毎日小説を書き続けるの方はできる。せめてそっちの約束だけは守ろう!」
そう決心し、机の前に座ると、不思議なほどに心が落ち着いてきます。
ふわり、と指が動き、キーボードの上をすべっていきます。言葉が指先からこぼれ落ちていくこの感覚。それだけは失っていないようです。
「よかった。まだ作家としての全ての能力を失ったわけではないのね」
そう私は安心しました。
「これから私に何ができるかはわからない。もしかしたら、凡庸な作家で終わってしまうかもしれないし、そこまでだって到達できないかもしれない。でも、せめてそのための努力だけはしよう。あの人の夢をかなえるためにも、目標に向かって進み続けることだけはやめないようにしよう」
心の底で、静かにそう誓うのでした。
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