2作目の長編、執筆開始!

 おおまかなストーリーとキャラクターを決めた私は、さっそく小説の執筆に取りかかりました。「プロローグ」から始めて、第1話、第2話と書いていきます。

 この時点では、まだ正式なタイトルも決まっておらず、主人公も下の名前しか決めていませんでした。ストーリーの都合上、どうしても苗字も必要だったのですが、それは後から考えることにしました。


 基本的な設定的にはSFの要素も入っているのですが、舞台となるのは現代社会です。ストーリー的にも、現代劇の要素が強いお話。そういう意味では、あまり想像力を必要としません。日常で使う道具とか機械とか、食べる物とか、文化とか、そういうのは全部普段の生活でれているものばかりです。

 ただし、主人公を中心とした登場人物たちは私とは全然違う人生を歩んでいる人たちばかりです。そこには目一杯めいっぱいの想像力を使いますし、エネルギーも消費します。おかげで、小説を書いた後はいつもヘトヘトでした。


 2作目の長編を書くにあたって、あの人からこう言われていました。

「小説家ってのは“なんでも屋”さ。時と場合に応じて、なんでもこなさないといけない。役者にだってならなきゃいけない。なりきるんだよ、別の自分に」

「別の自分に?」と、私は問い返します。

「そうさ。最初に書き始めた『音吹おとぶき璃瑠りるの誕生』だけど、あれは日記みたいなものだ。君の実体験をそのまま描いたもの。そういう意味では、私小説といえるだろう。だが、今回は違う」

「確かに。私とは全然違う人を主人公にした物語ですものね」

「そうだ。そこで体験することも出会う人々も、全部全部現実ではない。全てを君の空想でおぎなってやらなければならない」

「そのために私は役者にならないといけないってことですよね?」

「そういうこと。主人公だけではない。他の全ての登場人物になりきって、物語の世界で生きていかなければならない。それこそが小説の神髄しんずいなのだから」

「なんか大変そうですね」

「大変さ。でも、だからこそやりがいもある。ここでしか味わえない楽しさも快感もある。君が飛び込んだのはそういう世界さ」


 私は、その言葉に従って小説を書き続けています。

 主人公の女性になりきり、それ以外の人たちにもなって、空想で作りだした世界の住人として生きているのです。

 まだまだつたないのですが、それでも私はけ出し始めたのです。一流の小説家になるための、この道を。

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