6ー4
「以前、会ったのはいつだっただろうか。見違えるほど立派なレディに成長したものだな」
少女のきめ細やかな白い肌にうっすらと桃色が差す。
「ご主人様も、お変わりなくて。あのぅ、こちらの方はどなたですか?」
さっきからルニアの存在には気付いている節はあったのに、今気付いたとばかりに一瞥した。
ルニアはカッと嫉妬の炎が点火するのを感じる。
「私は、ご主人様の一番弟子にして寵愛を受ける愛人! ルニアです」
親指に嵌るご主人様からもらった指輪をこれ見よがしに見せつけた。
ふふんと鼻息荒くしているルニア。
また始まったのかと呆れる男。
だが敵対心を向けられた少女は動じることなく髪をかきあげる。
少女の耳にはルニアがご主人様からもらった指輪と、同じ大きさのイヤリングが揺れている。
「一番弟子は認めましょう。デスが愛人は聞き捨てなりません。ワタくしこそ真の愛人、ご主人様とは寝食を共にし、お風呂にだって入った仲デスから」
打ちひしがれるルニア。
勝ち誇る少女。
ご主人様は呆れながらもへたり込んだルニアの脇に手を入れて抱き起こした。
「ご、ご主人様!?」
ルニアは慌てふためいたが、内心は嬉しくてたまらない。
「あまりルニアをからかうな。お主と風呂に入っていたのは子供の時の話だ。バンシー、私はお主を愛人にした覚えはないぞ?」
ふくれっ面をしながらそっぽを向いている目の前の少女。バンシー?
少女は居直り、ルニアの方へ向くと、
「名前は、バンシーと申します。ニンゲン。ワタくしの機嫌を損ねないようにするのが懸命デスよ。そうじゃないと、死を招びマス」
死を招ぶ?
「ルニア、彼女は死を告げる妖精。バンシーだ。彼女が現れて家の前で立ち止まりすすり泣く声を聞いたならば、次の日には死人が出る。正確には、死期が近いものの家に現れ、天へと導くのが彼女の役目だ」
改めて、ルニアは少女ーーバンシーを見た。
どこか得意げな態度で、さっきまでの弱々しい風貌は見る影もない。
どうやら、最大のライバルの登場か。
ルニアは心で独りごちながら、闘志を燃やすのだった。
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