第11話

荒野を、一台のサイドカー付きオートバイが走ってゆく。

よく晴れた日であり、見通しのいい荒野を真っ直ぐな道が伸びており、オートバイはその道を真っ直ぐに走っていた。

オートバイは、745CC4サイクルのエンジンを唸らせ、エキゾーストパイプから豪快な排気音を響かせている。

そのオートバイ、BMW・R75は金属を打ち鳴らすような派手なエンジン音をたてながら、土煙をあげ走っていた。

ハンドルを握っているのは、革コートをマントのようになびかせててるティーガーである。

サイドカーには、少女が風に髪をなびかせながら座っていた。

手帳を手にしたその少女は、百妃である。

百妃は、ため息をつきながら手帳を閉じた。

「うーん、小物のマキーナ・トロープを片付けたくらいじゃ、あまりポイントがもらえないなぁ」

ティーガーは、エンジン音に負けないよう大きな声をだす。

「ポイントを貯めると、いいこがあるのか? 我が主よ」

「まあねぇ」

百妃は、少し眠たげに答える。

「大していいことも、ないんだけれど。評価があがるといえばいいのか」

「評価があがるのは、大したことではないのか」

百妃は、ため息をつく。

「悪いことじゃないけどね、別にこれといっていいこともない。でも」

百妃は、少し笑みをもらした。

「装備を、増やしてもらえるかも」

「式神が、わたし以外に増えるのか」

「それはちょっと、難しいね」

少女は、肩をすくめる。

「でも、刀は増やせるかも」

「骨喰藤四郎では、足りないのか」

百妃は、少し眉間にしわをよせた。

「骨喰藤四郎はいい刀だけど、長脇差だしね。市街戦にはいいけど、野戦向きじゃあないかな」

百妃は、笑う。

「でもまあ、でかい仕事してポイント増やすのもやばいしねぇ」

少女は、遠くを見つめる。

大きな建物の、廃墟が見えた。

百妃は、ため息をつく。

「凄いよねぇ」

ティーガーは、唐突な言葉に少し眉をあげる。

「何がだ」

「昔、大災厄がおきる前って、あんな大きな建物にひとがいっぱい住んでたんだよね」

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