第44話
鬼ごっこが始まり、制限時間の半分が経過した。未だにクラスメイトの来る気配がしない。………フハハハハ!見よ、この完璧な作戦。これで勝利は我が手に!
っても、このレクリエーションが丸一日使って行われるので流石に暇だ。暇だからと言って外に出れば、まさしく飛んで火に入る夏の虫。半分過ぎたから、もう捕まってもいい気がしなくもないが、校内でお姉様呼びは辛い。そして、生徒会に加入するのはもっと辛い。そろそろ俺がどこにいるか明かしてもいい頃合いだと思う。隠れる場所を考えるにあたりショッピングエリアとか混み合ってる方は、先ず真っ先に候補に上がる。それは確保側も同じ。こういう時は案外誰もが隠れなさそうだと思うところに隠れるべきなのだ。誰もが考える場所。そこが意外と盲点になる。何故なら、そんな所に鬼は隠れないと思うから。ただ、一日という時間が与えられている場合、虱潰しで総当たりで探される可能性が高いため、有効ではない。
さて、以上の条件が満たす所は?
誰もが考えて、ある意味盲点をつけ、場所が分かってもそれでも立ち入れない場所。
正解は、……………俺の「あーくん、何してんの?」部屋!って、ルカ、被らないで!
「ちょっと待ってな、ルカ。今から解説タイムに入るから」
………よし、解説しよう!
寮の部屋に入るには、まずカードキーが必要で、カードキーは紛失用に簡単に複製できるためリア充の奴らはグループ全員のカードキーを持ってるとか小耳に挟んだのだが、ボッチである俺は当然そんな友達はいない。どころかクラスメイトで自室に上げたのは紅ぐらいだ。当然、その紅もカードキーは持ってない。よって今、俺の部屋に入るためのカードキーは俺の手元にある一枚だけ。オンリーワンだ。そして、根回しというのは万が一この部屋に俺が居ると分かり、辿り着いた時、俺の部屋のカードを複製されないように管理人に伝えといた。
『今日一日で、俺の部屋のカードを複製してくれ、という人がいたら断ってくれ』と。
実は、この隠れ場所はあのレクリエーションが開催されると聞いた時に思いついた。
その時は乗り気ではなかったが、さっさと捕まろうと思っていたが、こういう時のために念のために管理人に連絡しておいたのが功を奏した。
よって、どんなに場所を特定したところで俺を捕まえることはできない!
俺の聖域にして絶対防御壁!
そして、暇を持て余した俺はベッドでゴロゴロしていたというわけである。
「あーくん。今日早いの?」
俺がこの時間にいることを不自然に思ったのか、ルカは怪訝な表情を向ける。
ああ、そうか。ルカはこのレクリエーションのこと知らないからな。もう捕まんないから、学校から帰ってきたって言ってもいいか。
「おう、今日は早く学校終わったからな」
「そーなの?じゃあ、あそびいきたい!」
一転、ハイテンションになったルカは満面の笑みを浮かべた。
「う、わ、悪いなルカ。今あーくんは追われているんだ」
「追われてる………わるいことしたの?」
「そんなわけないだろう。寧ろいい事したのに追われているんだ」
「……そーなんだ」
「そうなんだよ。理不尽だよな。だから、もうちょっと待っててくれないか。そうしたら、この後敷地内の中なら好きなところ連れてってやる」
「ほんとに?」
「おう、もちろん」
ふう、これで一先ず安心だ。
そういや、最近昼飯作り置きにしてたからな………、今日くらいは温かいのを作ってやるか。時間もいい頃合いだしな。
今頃必死こいて探しているのに、鬼は悠々自適に幼女と昼飯を食ってる、か。中々背徳感があって………ゾクゾクするな。
「ルカ、まだ昼飯食ってないよな」
「うん。どうして?」
「今からアツアツなのを作ってやろうと思ってな」
「やったー!あーくんの料理はおいしいから好きー」
「それは良かった。俺もルカのこと大好きだぞ」
「うん!」
冗談でも人から好きと言われることが過去になかったことなので、ついおかしな事を口走ってしまった。十歳相手に何言ってんだ、下手すりゃ犯罪だ。誘拐、拉致監禁、
「じゃあ、何が食いたい?」
「やきそば!」
即答ですか……、ああ、前に作った時も評判良かったからなぁ。
「了解。んじゃあ、ちょっと待っててくれ。
パパッと終わらすから」
その後、宣言通り時短で調理し終え、二人でチュルチュルと焼きそばを啜った。
ルカはお腹が満たされたからか昼寝タイムに入った。ルカの普段の生活を見守ることが出来ないため、こうして見るとかなり罪悪感を感じる。好奇心の塊である年端もいかない少女に、こうして退屈な時間を過ごさせていると思うと心苦しい。…………このレクリエーションでポイントが手に入ったら、テレビゲームでも買ってやるか。その、年端もいかない少女に昼間からゲームさせるというのは教育上よろしくなさそうだが、この際、背に腹は変えられない。それに俺のベッドで眠る幸せそうなルカの寝顔を見たら、ポイントの出費など、どうでもよく感じてきた。
ああ、やべ、俺も眠くなってきた…………。
欠伸は他人に
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