密談
部屋に上げられた俺は、出されたお茶を飲みながら、クール逢原と向かい合って座っていた。
「さて、話って何だ……といっても、多分俺もお前も、話の内容は同じだろうな」
こいつがわざわざ夜中に俺を訪ねようとした。逢原曰く、このことは表の逢原には内緒にしたいらしい。だとしたら、こいつの話の内容は俺と同じのはずだ。
「どう考えたっておかしいよな。そりゃ世界規模で見れば、多重人格者なんざ大勢いるだろうよ。だが、同じ町に二人も多重人格者がいるなんて、どう考えてもおかしい。しかもどちらも並外れた運動能力を持っているっていうオマケつきだ」
「……何か、人為的なものを感じる」
人為的か。その考えには同意だ。
「ずっと思っていたことがある。十数年前から、初めて史郎と会った時から違和感を感じていた。例えるなら……そう、ジグソーパズルのピースを間違った所に無理やり押しこまれた、そんな感覚だ」
我ながらいい例えだと思う。
「自分は、自分達はここにいるべき存在ではない。ここじゃない、どこか別の場所に本当の居場所がある。お前もそう思っていたんじゃないのか?」
逢原はこくりと頷く。
「お前はさっき、人為的なものを感じると言ったな。俺も同意見だ。俺達は誰かによって、史郎達の頭に植え付けられた可能性がある」
俺は自然と史郎の頭の中に生まれたのではなく、誰かの手によってあいつの中に連れてこられたのではないか。俺はずっとそう考えてきた。
だが、その考えは推測でしかない。裏付ける証拠がないのだ。
だからここに来た。逢原なら何か知っているのではないかと思ったからだ。
「そこで、逢原。お前に聞きたいことがある。お前は知っているか? 史郎達にこんなことをしたやつのことを」
「……知らない」
逢原は否定する。
「そうか……お前なら何か知っていると思ったんだがな」
俺はがっかりする。自分が誰なのか、自分のルーツを知れるかと思ったが、期待しすぎちまった。俺が残ったお茶を飲み干そうとした、その時だった。ピンポーン。ピンポーン。逢原邸のインターフォンが鳴り響く。
「来客の予定は?」
「……ない」
こんな時間に来客などあるはずがない。
「いやな予感がするな」
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