クロちゃんもドン引き

「(それで、一体何があったんだよ?)」


 クロちゃんが少し怒った声で、僕に聞いてくる。

 僕は通学路を歩きながら、クロちゃんにさっき見た夢の内容を説明する。


 クロちゃんが僕の双子の弟になって目の前に現れたこと。逢原さん達も双子姉妹になったこと。クロちゃんとクール逢原さんが恋人関係になっていたこと。


 夢の中で起こった出来事を細かく話した。

 普段なら昨晩見た夢の内容なんて忘れるけど、今回は鮮明に覚えていた。


 そして、僕の話を聞いたクロちゃんの反応は……。


「馬鹿かお前?」


 だった。驚いたことに、夢のクロちゃんと同じ反応だった。


「変な夢を見るのは勝手だが、俺を巻き込むなよ」


 そんなこと言われても、夢の筋書きをコントロールすることはできないよ。


「だいたい、仮に俺が自分の身体を持っていたとしても、逢原と付き合ったりしねーよ」


 本当かなぁ。


「ホントだっつーの。それに俺はどっちかっていうと、胸のデカイ年上の女の方が好きなんだよ。逢原みたいなロリ体型に欲情なんてしねーよ」


 それを聞いた僕はてか初めて聞いたな、クロちゃんの性癖。

 ちなみに僕は断じてロリコンではない。好きになった人がロリみたいな身体をしていただけだ。


「ほら、愛しの逢原さんが前歩いているぞ、変な夢のことは忘れて挨拶して来いよ」


 前方十メートルに逢原さんの後ろ姿が見えた。ちなみに逢原さんは一人だけだ、双子の存在は確認できない。

 僕は逢原さんに挨拶しようと思ったけど、彼女達の靴の匂いを嗅いだ罪悪感と恥ずかしさで、今話しかけるのはやめておいた。


「(え、お前そんなことしたの? ……さすがに引くわ)」


 思考を読まれ、弟にドン引きされた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る