2つ、不死身少女

「『摩訶不思議! ビルから飛び降りても死なない不死身少女!』」

「不死身少女ぉ?」


 僕はオウムのように聞き返す。

 桜子は詳細を説明する。


「うん。毎晩夜になると、廃ビルから飛び降りる女の子がいるんだよ。それを見ていた大人たちが、慌てて落下地点に走ったんだけどね……なんと、どこにも少女どころか遺体すらなかったんだよ!」


 これまた胡散臭い。さっきのヒーローのほうがまだ信憑性がある。飛び降りたのに、その下に誰もいないなんて、そんなのあるわけがない。

 また桜子に情報の出どこを聞いてみたけど、塾帰りのクラスメイト、残業終わりのサラリーマンだった。桜子が実際にその目で見たわけではないらしい。


 ふと逢原さんの方を見る。彼女は読書を止めて桜子の話を真剣な目で聞いていた。


「お、詩織っち。どうやら不死身少女に興味があるみたいだね?」

「……」


 逢原さんは何も言わない。けど否定しないということは肯定なのだろう。

 意外だ。まさか逢原さんが、こういうオカルト話に興味があったなんて。彼女の新たな一面発見。


「さて、三人のうち二人がこの事件に興味があるようだね。これはもう多数決をする必要もないね」


 ニヤリと笑いながら桜子が僕の方を見る。


「はぁ、分かったよ。僕も調べるの手伝うよ」

「よっしゃあ! やったね!」


 ガッツポーズをした後、桜子は逢原さんと無理やりハイタッチする。いいな桜子は、同性だから逢原さんと気兼ねなくボディタッチできて。


「それで? どうやって調べるんだ?」

「ふっふーん、史郎っち。よく言うでしょ? 捜査は足からって」


 桜子がニヤニヤと何かを企んでいるような顔をしている。いやな予感がした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る