1つ、不良を倒すヒーロー
「ノーノー。今回の会議は一味も二味も違うのだよ」
ちっちっと指を振りながら桜子は言う。どうやらよっぽど自信のある、会議内容らしい。僕は椅子に座りなおして、桜子の話を真面目に聞くことにする。
「なんとこの町に面白事件が起きたのだよ! しかも二つも!」
「面白事件?」
ドンと胸を張る桜子の方を見る。逢原さんは構わず読書を続け、クロちゃんはいつの間にかいびきをかきながら寝ていた。
「そうだよ! まずひとーつ!」
桜子はピーンと右の人差し指を天に掲げる。
「最近、夜に町でたむろする不良どもを退治する男が現れたのだよ! 題して『町にヒーロー出現! 不良ども壊滅!』」
桜子は高らかに言い切る。あいかわらず、元気な奴だ。
それにしても、ヒーローとは……。
「ヒーロー? どうせ不良同士の喧嘩だろ」
「うーん、一対一ならだたの喧嘩なんだけど。その男はたった一人で二十人の不良軍団を倒したんだよ! たった一人で、だよ! こんな芸当ができるなんて、これはもうヒーローじゃないと不可能だよ!!」
桜子のテンションが上がる。それに応じて、彼女の声のトーンもドンドン高くなる。お隣のコンピューター研究部から苦情が来ないか心配になる。
一人だけで二十人を倒した……彼女の言うことが本当なら、確かにすごいけど、どうも胡散臭い。
「その情報の出どこは?」
「えーっとね、私の友達の先輩のお母さんの主婦仲間」
「ほとんど他人じゃん!」
曖昧すぎる情報源に、僕は思わずツッコむ。真面目に話を聞いて損をした。ただでさえヒーローだなんて胡散臭いのに、その胡散臭さが倍増した。
「まあまあ、それはそうと二つ目はもっと凄いよ!」
桜子が中指も立てる。次はマシな事件なのかな、僕は不安交じりに彼女が言う面白事件そのニの内容を聞くことにした。
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